出場機会を求めて移籍し、新天地で心機一転、昨季の汚名を返上しようと意気込んでいたはずだ。だが、開幕戦で再びミスからの失点にスポットライトを当てられることとなってしまった。

　８月14日のセリエA開幕戦で、昇格組のクレモネーゼはフィオレンティーナに２-３と敗れた。１-２のビハインドで数的不利にも陥りながら、一度は同点に追いついたものの、終了間際のアディショナルタイムに決勝点を許している。

　敵地で貴重な１ポイントを手にするかと思われていた矢先、クレモネーゼはサイドからの敵のクロスがゴールマウスに向かうと、ルーマニア代表GKヨヌツ・ラドゥがこれをキャッチ。だが、体勢を保てずにゴールポストにぶつかり、こぼしたボールがゴールラインを割ってしまった。

　ラドゥといえば昨シーズン、優勝を争ったインテルでも凡ミスからの失点がクローズアップされた選手だ。

　ミランと激しく競っていた４月末、未消化だったボローニャ戦で勝てば首位に立てたインテルだが、同点で迎えた終盤の80分過ぎ、ラドゥが味方のバックパスを処理しようとしするも、かすったキックはそのままゴールへ。このミスから勝ち越しを許して敗れた。最終的にはこの黒星が響き、インテルは連覇を逃している。

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　絶対的守護神のサミル・ハンダノビッチを擁するインテルということもあり、ボローニャ戦はラドゥにとって昨季初のセリエA出場だった。そのため、試合勘のなさが一因との声もあった。

　もちろん、25歳のラドゥも出場機会を強く望んでいたのは言うまでもない。だからこそ今季はクレモネーゼにレンタル移籍したのだ。それだけに、開幕戦を迎えて気合も十分だっただろう。実際、ラドゥはこの試合で８セーブを記録している。

『Gazzetta dello Sport』紙は「その瞬間までは結果を救う素晴らしいセーブでベストプレーヤーのひとりだった」と強調した。しかし、決勝点につながったミスのインパクトは大きい。同紙は「またもや衝撃的なミス」「ボローニャ戦ほどではないが、いずれにしても心情的に彼を打ちのめす再び深刻な過ち」とも伝えている。

　それでも、『Sport Mediaset』によると、クレモネーゼのマッシミリアーノ・アルビーニ監督は、「彼に言うべきことはない。ラドゥは優れたGKだ。昨季はひとつのミスで十字架にかけられた。こういうことで若者を『壊す』ようではいけない」と、選手を擁護した。

「今日は素晴らしいセーブもあったし、彼をそのように見るべきではない。ミスを正すために仕事をする。彼は優れたGKだ。彼のミスについて話すのもやめたい。もう十分じゃないか。彼は私に何も言う必要ないし、私からも彼に何も言う必要ない。素晴らしい試合をした。我々は信頼している」

　監督の信頼を背に、ラドゥは自信を保ち、好パフォーマンスで雪辱を晴らすことができるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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