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【W杯を手繰り寄せた男たち|中西永輔編】本大会への執着心と準備力で滑り込み。世界の名手には“動き出し”で勝負

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2022年06月26日

「自分の特長を出すことだけに集中していた」

フランスW杯ではアルゼンチン戦、クロアチア戦でフル出場。前者では「サッカー人生で最高のパフォーマンスを出せた」と振り返る。(C)SOCCER DIGEST

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 4年に一度の祭典、ワールドカップ。この大舞台に立つことを約束された者などいない。メンバー入りを巡る熾烈な争いで、本大会が近づくにつれて序列を覆したケースもある。日本が参戦した過去6大会で、W杯を手繰り寄せた男たちの知られざるストーリー。1人目は、1998年のフランス・ワールドカップに出場した中西永輔だ。

――◆――◆――

 日本が初めてアジアの壁を破り、世界に挑んだのが、ご存じの通り、1998年のフランス・ワールドカップだ。グループステージでアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカに3連敗という屈辱を味わったこの大舞台で、持てる力の全てを出し切り、キーマンつぶしに奔走したのが、3バックの一員・中西永輔だった。

「僕は97年9月にスタートした最終予選直前に代表に呼ばれ、右サイドバックの名良橋晃さんの控えという立場にいました。そんな自分に出番が巡ってきたのが、9月28日の日韓戦。まさに大一番でした」

 最終予選第4節。5万6704人という大観衆のもと、東京・国立競技場で行なわれた因縁の対決。国際舞台は未経験の中西は1本目のパスをミスし、頭が真っ白になってしまった。そのまま雰囲気に飲まれ、自分らしさを出せず、前半45分で交代を強いられた。日本も山口素弘の華麗なループシュートで挙げた先制点を守り切れず、1-2で逆転負けを喫した。

 直後のカザフスタン&ウズベキスタン遠征の結果を受け、加茂周監督が更迭され、岡田武史監督が就任した混迷の歴史は、25年が経過した今も広く知られている。

「浮足立ってチャンスを逃した後、『自分はいつ外れてもおかしくない』と危機感を覚えつつ、日々の練習に100パーセントで向き合い続けました。イランとの第3代表決定戦のジョホールバルの時も肩が上がらない状態だったけど、岡田さんに嘘をついて『行けます』と言い、初日の練習で怒られた(苦笑)。そのくらい『しがみついてやる』という気持ちでした」と中西は当時、ギリギリの状態だったことを明かす。

 フランス行きを決めた“ジョホールバルの歓喜”をピッチで味わえず、当落選上のまま98年に突入。4月の日韓戦では当時17歳の市川大祐も抜擢されるなど、右SB争いはますます熾烈になった。

「プロで6~7年やってきた自覚もあったし、負けられない気持ちは強かった。ただ、自分には左右のサイドバックをこなせる強みがあり、そこには自信を持っていました。当時は『器用貧乏』みたいな言い方もされましたけど、左サイドバックの相馬(直樹)さんを含めて、あまり他の人のことは意識せず、自分の特長を出すことだけに集中していたんです」
 
 今で言う「ユーティリティ性」を岡田監督も高く評価した。彼らスタッフはアルゼンチンとクロアチアを徹底分析した結果、3バックの採用を決断。5月のチェコ戦で右CBに指名された中西は「ここでやられたら話にならない」と覚悟を決め、試合会場の日産スタジアムのピッチに立ったという。

「岡田さんはジェフ市原(現千葉)で自分が新人だった頃のコーチ。清雲栄純監督に使われず、悩んでいたプロ2年目に話を聞いてもらったことがありました。『お前の持ってるものを100パーセント出してダメならしょうがない』という言葉が刺さり、翌日から心を入れ替えて先頭を走り、サッカーと真摯に向き合うようになったんです。そんな恩もありましたから、とにかく自分らしさを出そうと決め、事前にビデオを徹底的に見てどう抑えるか研究しました」

 中西が気づいたのは『動き出しで勝てる』ということだった。現在の代表選手のように国際経験がない分、確信は持てなかったが、実際に対戦してみたらその通りだった。

「チェコ戦で自信がつき、ワールドカップ直前のユーゴスラビア戦で確信を持つに至りました。ユーゴ戦では当時レアル・マドリーで大活躍していた(プレドラグ・)ミヤトビッチと対峙して、結構やれました。最初は『どこまで通用するのかな』という不安な気持ちだったのが、『やられてもしょうがない』という前向きなほうへ変化していったんです。日韓戦の失敗を良い教訓にできたのが大きかったですね」
 
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