「11人での共闘という精神」がGKを勇気づける
フォーメーションは数字で表される。4-4-2、4-3-3、3-4-3、5-3-2など数字の並びはどれであれ、これが日本サッカー界では一般的だろう。フィールドプレーヤーをラインごとに表記。4-1-4-1、3-4-2-1のようなものもあるが、10人での構成だ。
しかしスペイン人指導者は必ずと言っていいほど、フォーメーションにGKの1を入れる。
「GKを入れずに試合ができるか?」
彼らはそう言って、GKを数字として入れないことを許さない。
マスコミやファンの間では、GKはそこにいる前提になっている。わざわざ数えなくても、GKの1は変わらない。そもそも二人のGKは許されないし、GKなしでスタートもできないわけで、当然のように簡略化されている。
しかしスペインの指導者は頑固なまで、テキストにはGKの1を入れる。1-4-4-2というのはまだしも、1-4-1-4-1というのは少しわかりにくかったりする。便利さを考えれば、やはりGKの1は入れない方がいいのかもしれない。
しかし、スペイン指導者講習の年配教授は憤慨していた。
「GKを入れないなんて、リスペクトはどこに行った?それで試合はできるのか?GKがいるからこそ、ゴールは守られる」
言い返す言葉がない。正論だからだ。
しかしスペイン人指導者は必ずと言っていいほど、フォーメーションにGKの1を入れる。
「GKを入れずに試合ができるか?」
彼らはそう言って、GKを数字として入れないことを許さない。
マスコミやファンの間では、GKはそこにいる前提になっている。わざわざ数えなくても、GKの1は変わらない。そもそも二人のGKは許されないし、GKなしでスタートもできないわけで、当然のように簡略化されている。
しかしスペインの指導者は頑固なまで、テキストにはGKの1を入れる。1-4-4-2というのはまだしも、1-4-1-4-1というのは少しわかりにくかったりする。便利さを考えれば、やはりGKの1は入れない方がいいのかもしれない。
しかし、スペイン指導者講習の年配教授は憤慨していた。
「GKを入れないなんて、リスペクトはどこに行った?それで試合はできるのか?GKがいるからこそ、ゴールは守られる」
言い返す言葉がない。正論だからだ。
指導者を筆頭にした現場での「正しさ」は、時として欠かせないものだと言える。GKはひとりだけ手が使える“特権”があるわけだが、それだけに失点の罪を背負う。それは極めて厳しい立場であり、相当な覚悟で最後の門番をしている。その選手に対して敬意を失わない、「11人での共闘という精神」がGKを勇気づけるのだ。
「GKの1を入れる? そんな小さなこと、どうでもいい」
それこそ、GKへの冒涜だろう。小さな、どうでもいいことの積み重ねで、失点かそうでないか、勝利か敗北か、の分かれ目となる。
そして敬意の中で育ったGKは、「チームのために」という頼もしさを感じさせる。決意に満ちていて、挫折にも強い。苦難を乗り越えられることで成長でき、苦しいゲームの中でも踏ん張れる。
それ故、スペインは代表の正GKであるウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)を筆頭に、イングランド、イタリア、フランス、ポルトガル、トルコなど各国有力クラブにGKを送り出している。ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、ケパ・アリサバラガ(チェルシー)、アドリアン(リバプール)、ロベルト・サンチェス(ブライトン)、ダビド・ラジャ(ブレントフォード)、ペペ・レイナ(ラツィオ)、パウ・ロペス(マルセイユ)、アントニオ・アダン(スポルティング・リスボン)、イニャキ・ペニャ(ガラタサライ)など枚挙にいとまがない。
少なくとも指導者は、面倒くさがらずにフォーメーションでGKを含めた数字を並べるべきだろう。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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「GKの1を入れる? そんな小さなこと、どうでもいい」
それこそ、GKへの冒涜だろう。小さな、どうでもいいことの積み重ねで、失点かそうでないか、勝利か敗北か、の分かれ目となる。
そして敬意の中で育ったGKは、「チームのために」という頼もしさを感じさせる。決意に満ちていて、挫折にも強い。苦難を乗り越えられることで成長でき、苦しいゲームの中でも踏ん張れる。
それ故、スペインは代表の正GKであるウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)を筆頭に、イングランド、イタリア、フランス、ポルトガル、トルコなど各国有力クラブにGKを送り出している。ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、ケパ・アリサバラガ(チェルシー)、アドリアン(リバプール)、ロベルト・サンチェス(ブライトン)、ダビド・ラジャ(ブレントフォード)、ペペ・レイナ(ラツィオ)、パウ・ロペス(マルセイユ)、アントニオ・アダン(スポルティング・リスボン)、イニャキ・ペニャ(ガラタサライ)など枚挙にいとまがない。
少なくとも指導者は、面倒くさがらずにフォーメーションでGKを含めた数字を並べるべきだろう。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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