ウクライナ・サッカー協会（UAF）は３月12日、元ウクライナ代表MFのアナトリー・ティモシュク氏に、厳しい処分を科す発表をした。

　ウクライナ代表の最多キャップ（144試合）を誇るレジェンドであるティモシュク氏は現在、現役時代にプレーしたロシアのゼニト・サンクトペテルブルクでアシスタントコーチを務めている。

　そして、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった後も、沈黙を貫いていたため、UAFの「倫理およびフェアプレー委員会」が、倫理規定およびフェアプレーの違反の可能性を検証。「侵略者のクラブとの協力を止めなかった」「沈黙を守り、侵略者のクラブのために働き続けている。この意識的な選択で、ウクライナのサッカーのイメージを傷つけた」とし、「コーチングライセンスの剥奪」「タイトルの剥奪」「代表の記録からの抹消」「ウクライナでのサッカー活動の生涯禁止」など、事実上の“永久追放”と言える極めて重い処分を科した。

　代表の同僚や後輩からも非難されるなか、元妻もティモシュク氏に対して怒りの声をあげた。ウクライナのメディア『Fakty i Kommentarii』が報じている。
 

　ティモシュク氏の元妻、ナディア・ナブロトスカさんは、自身のフェイスブックに、廃墟となったマリウポリの街や子供や母親の様子を写した写真を投稿。元夫への怒りを綴った。

「ほら、これらはすべてウクライナの子供たちです。あなたの子供たちと同じです。この子たちは、あなたがいま媚びている人たちによって毎日殺されています。あなたも彼らと一緒に子供たちを殺している。毎日、あなたはウクライナの子供たちを殺している」

　そう切り出したナブロトスカさんは、「あなたが（ロシアで）１日に数回レストランで食事をしたり、ビジネスを始めたり、服を買ったり、車にガソリンを補給したりして、毎日支払っている税金が、私たちの子供たちを殺すためのミサイルを買うのに使われている」と糾弾。さらにこう続けている。

「私は2014年にも同じことを言った。 しかし、あなたは自分の子供たちに苦しみを与えて楽しむ日々を選んだ。あなたはとんでもない嘘つきで、周りの人みんなに嘘をついた。あなたとあなたの父は正義のためだと言った。本当に私たちの子供たちを殺すことが公正だと思うの？ あなたは世界中のどこででも働くことができる。なのに、なぜあなたはウクライナの子供たちを殺害するために毎日支払うのか？」

　最後に、ナブロトスカさんは投稿をこう締めくくっている。

「あなたはかつて、私を魔女だと言った。だから、すべてのウクライナの母親のように、この戦争で亡くなったすべての子供たちが、一日の終わりに、あなたの夢に出てくることを願っています」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【画像】元夫のティモシュク氏を糾弾したナブロトスカさん

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