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聞こえてくるのは「スーパー、スーパー、トミヤス!」という陳腐な合唱。これぞっていう最高のチャントを冨安に!【現地発】

カテゴリ:海外日本人

スティーブ・マッケンジー

2022年02月19日

冨安がアーセナルのファンに愛される理由

アーセナルの堅守復活に大きく貢献した冨安は、現地での人気・評価も高い。21節のシティ戦でも対峙するスターリングを見事に抑えた。(C)Getty Images

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 アーセナルは開幕3連敗という最悪の状況から盛り返し、2月17日現在のプレミアリーグで6位につけている。4位マンチェスター・ユナイテッドとは勝点4差、5位ウェストハムとは勝点2差。3試合未消化のアーセナルにとっては射程圏内だ。チャンピオンズ・リーグの出場権獲得(4位以内)が十分狙える位置であり、ここまでよく立て直したものだ。

 その原動力のひとりが、移籍期限最終日にボローニャからやってきた冨安健洋だということは、日本のサッカーファンは百も承知だよね。冨安が入ってからアーセナルのディフェンスは劇的に良くなった。失点が減ってクリーンシート(CS)の数が増え、ここまで11CSはマンチェスター・シティ(15CS)、リバプール(13CS)に次いでリーグ3位だ。冨安が加入した4節以降の19試合でこの数だからね。

 冨安の評判はすこぶる良い。僕の周りのアーセナル・ファンも冨安には好感しかないようだ。例えば、知り合いのヘンリーはこう語ってくれた。

「最高の補強だよ。プレミアリーグに苦もなく馴染んだしね。リーグで最強のフルバック(サイドバック)のひとりだ。23歳とまだ若くて、これからもっともっと伸びていくはずだし、この先ずっと長くアーセナルに貢献してくれるだろう。スピードがあって、強さもあって、攻め上がりも抜群。アーセナルは最高の買い物をした」

 ちょっと紋切り型のコメントで、面白みはないけど(ごめんね、ヘンリー!)、誰に聞いても異口同音にこんな褒め言葉が返ってくる。

 ただ、個人的に異論を挟みたいのが、攻め上がりに関しての称賛。むしろ物足りないと思うな。元々はCBだけあって1対1など守備は固く、CBのベン・ホワイトやGKのアーロン・ラムスデイルともしっかり連携が取れているけど、ゴールに絡む頻度は低いし、ラストボール(決定的なパスやクロス)には改善の余地がある。ここまでノーゴールで、アシストもひとつしかないからね。

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 冨安について、アーセナル・ファンにもひとつだけ不満があってね。それは、「タケヒロ・トミヤス」という名前。我々の舌には発音が難しく、いいライミング(語呂合わせ)も見つけられないから気の利いたチャント(歌)が作れず、それで困っているんだ(笑)。たしかに、スタンドから聞こえてくるのは、「スーパー、スーパー、トミヤス」なんていう、ライミングも何もない陳腐な合唱だけだ。これぞっていうチャントを日本のファンが作って、発信するのはどうだろう。きっと喜ばれるはずだ。

 アーセナル・ファンと言えば、ちょっと特殊なんだよね。例えば、チーム名を語るとき、単に「アーセナル」とは言わず、必ず「THE」を付けるんだ。このニュアンス、分かってもらえるかな。アーセナルは普通のクラブじゃない、唯一無二の存在なんだというプライドが、この「THE」に表われている。アーセナルとはこうあるべき、こうプレーすべき、こう勝つべき、そんな主義・主張があって、それを「THE Arsenal Way(アーセナルの流儀)」と呼んで大切にしている。
 
 そのメンタリティーは独特でね。彼らが誇る「THE Arsenal Way」は、1-0の勝利。「One Nil to THE Arsenal(1-0でアーセナルの勝利)」というフレーズが生まれ、定着したように、相手にゴールを許さず、必要最小限の1点だけ奪って勝つことに快感を覚えるんだそうだ。3-0でも、2-1でもなく、1-0。それがアーセナル・ファンにとって最高の勝利なんだ。

 だから伝統的に堅守のチームで、アーセン・ヴェンゲルの指揮の下、ティエリ・アンリやデニス・ベルカンプが華麗に舞ったあの時代も、イングランド人が固めるソリッドなディフェンスがチームのバックボーンだった。
 
 堅守の復活に一役買った冨安が愛されるのも分かるよね。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

Steve MACKENZIE
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーターだ。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で手掛け出版した。

※『ワールドサッカーダイジェスト』2022年2月3日号より加筆・修正

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