「移籍金収入は予算に入ってないの!?」欧州育成の名門に驚かれたJクラブの実情。“タレント輸出大国”はどうすれば移籍金ビジネスで潤えるのか【現地発】
カテゴリ:Jリーグ
2026年06月11日
「“2回目の移籍”をいかに成功させるかが、Jリーグにとって大事な戦略」
この夏から11チームによるU-21 Jリーグがスタートする。
「U-21 Jリーグは16歳、17歳の選手がストレッチして競争できるような場になったらいいな、という思いがあります。まさにオランダやベルギーではどのクラブもU21やU23のリーグをそういった選手たちの主戦場にして、トップチームに輩出していく場として活用している」
今回の視察ではオランダリーグ2部に参戦するU21アヤックスが、デン・ボスのトップチームに勝利する試合を見ることができた。
「アヤックスのU21チームが、体格差や年齢差がある相手にまったく引けを取らず、何なら試合に勝利した。見ていてあっという間の90分間でしたね。勝っても負けても良い機会をクラブは若い選手に提供していると思うんです。その中で次から次へと選手を輩出していくエコシステムが出来上がっていると思う。そこからトップチームに昇格して活躍する選手もいれば、移籍する選手もいる。そこでクラブが投資利益を得て、育成に再投資するエコシステムを、日本でもしっかり構築していかないといけないと、あらためて思いました」(黄川田氏)
今回、Jリーグ育成部が主にベルギー、オランダを視察したのには、明確な意図があった。それはこの2か国は5大リーグに続く、カテゴリー2のリーグだから。
「育成の成功とは選手のパスウェイ(キャリアプラン)を実現させること。Jリーグ自体はカテゴリー3のリーグです。まずは日本の若い選手はカテゴリー2のリーグでしっかり欧州のサッカーというものを経験し、出場時間をしっかり確保して活躍する。それから“セカンダリーマーケット”でカテゴリー1と呼ばれる5大リーグでステップアップし、欲を言えばCLに絡むようなクラブに行く。こうした“2回目の移籍”をいかに成功させるかが、Jリーグにとっては大事な戦略になってきます」(黄川田氏)
日本→欧州への移籍で、Jリーグのクラブは大きな利益を得られてない現状がある。しかし、その次の移籍が成功すれば、Jリーグのクラブには連帯貢献金が入ってくる。また契約書にセル・オン条約を付けておけば、セカンダリーマーケットの移籍金の一部がJリーグのクラブに払われる。
分かりやすいのは冨安健洋の例。19歳でアビスパ福岡からシント=トロイデン、20歳の時にシント=トロイデンからボローニャに移籍した冨安は、22歳でアーセナルにステップアップした。連帯貢献金は12歳から23歳まで育成した選手に払われる仕組みだから、アビスパ福岡、シント=トロイデン、ボローニャは冨安がステップアップを重ねるごと、利益を得ていた。選手本人にとっても、そのキャリアは、カテゴリー3(Jリーグ)→カテゴリー2(ベルギー)→カテゴリー1(イタリア)→エリート(イングランド&CL)という夢のようなパスウェイの実現だったと言えよう。
「これからヨーロッパに羽ばたく若い選手たちには、30歳近くになったらJリーグに戻ってきて、その経験を活かしてクラブに貢献し、引退したら指導者として『クラブのDNA』を継承する――そんな理想的なパスウェイがより描けたら良いなとずっと思っているところです」(黄川田氏)
「U-21 Jリーグは16歳、17歳の選手がストレッチして競争できるような場になったらいいな、という思いがあります。まさにオランダやベルギーではどのクラブもU21やU23のリーグをそういった選手たちの主戦場にして、トップチームに輩出していく場として活用している」
今回の視察ではオランダリーグ2部に参戦するU21アヤックスが、デン・ボスのトップチームに勝利する試合を見ることができた。
「アヤックスのU21チームが、体格差や年齢差がある相手にまったく引けを取らず、何なら試合に勝利した。見ていてあっという間の90分間でしたね。勝っても負けても良い機会をクラブは若い選手に提供していると思うんです。その中で次から次へと選手を輩出していくエコシステムが出来上がっていると思う。そこからトップチームに昇格して活躍する選手もいれば、移籍する選手もいる。そこでクラブが投資利益を得て、育成に再投資するエコシステムを、日本でもしっかり構築していかないといけないと、あらためて思いました」(黄川田氏)
今回、Jリーグ育成部が主にベルギー、オランダを視察したのには、明確な意図があった。それはこの2か国は5大リーグに続く、カテゴリー2のリーグだから。
「育成の成功とは選手のパスウェイ(キャリアプラン)を実現させること。Jリーグ自体はカテゴリー3のリーグです。まずは日本の若い選手はカテゴリー2のリーグでしっかり欧州のサッカーというものを経験し、出場時間をしっかり確保して活躍する。それから“セカンダリーマーケット”でカテゴリー1と呼ばれる5大リーグでステップアップし、欲を言えばCLに絡むようなクラブに行く。こうした“2回目の移籍”をいかに成功させるかが、Jリーグにとっては大事な戦略になってきます」(黄川田氏)
日本→欧州への移籍で、Jリーグのクラブは大きな利益を得られてない現状がある。しかし、その次の移籍が成功すれば、Jリーグのクラブには連帯貢献金が入ってくる。また契約書にセル・オン条約を付けておけば、セカンダリーマーケットの移籍金の一部がJリーグのクラブに払われる。
分かりやすいのは冨安健洋の例。19歳でアビスパ福岡からシント=トロイデン、20歳の時にシント=トロイデンからボローニャに移籍した冨安は、22歳でアーセナルにステップアップした。連帯貢献金は12歳から23歳まで育成した選手に払われる仕組みだから、アビスパ福岡、シント=トロイデン、ボローニャは冨安がステップアップを重ねるごと、利益を得ていた。選手本人にとっても、そのキャリアは、カテゴリー3(Jリーグ)→カテゴリー2(ベルギー)→カテゴリー1(イタリア)→エリート(イングランド&CL)という夢のようなパスウェイの実現だったと言えよう。
「これからヨーロッパに羽ばたく若い選手たちには、30歳近くになったらJリーグに戻ってきて、その経験を活かしてクラブに貢献し、引退したら指導者として『クラブのDNA』を継承する――そんな理想的なパスウェイがより描けたら良いなとずっと思っているところです」(黄川田氏)
今回の訪問先で「Jリーグのクラブの収入は主に2つ。興行収入とスポンサー収入です」と話したところ、「移籍金収入は予算に入ってないの!?」と驚かれた。
「移籍は縁もあることだから、日本では予算に立てることができない。仮に移籍で5000万円の予算を立てても、移籍が実現しなかったらそのぶん、赤字になってしまいます。だから“移籍金はあるかどうか分からない”というのが前提となり、帳簿上、特別会計の項目に入ってきます。しかしヨーロッパでは移籍金収入は目標として数値化されているので予算に入ってくる。その考え方の違いがあるかもしれない」(伊達氏)
「これからJリーグも興行収入、スポンサー収入に加え、移籍金収入も経営の柱にしないといけません」(黄川田氏)
視察を終えた黄川田氏はこう締め括った。
「今回は良いヒントをもらうことができました。Jリーグとしてはクラブに押し付けることではなく、今回の視察で学んだ枠組みを我々なりにカスタマイズし提供することで、各クラブの現在地に合った育成戦略・パスウェイ戦略を立ててもらえるようにしたいですね」
取材・文●中田 徹
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「移籍は縁もあることだから、日本では予算に立てることができない。仮に移籍で5000万円の予算を立てても、移籍が実現しなかったらそのぶん、赤字になってしまいます。だから“移籍金はあるかどうか分からない”というのが前提となり、帳簿上、特別会計の項目に入ってきます。しかしヨーロッパでは移籍金収入は目標として数値化されているので予算に入ってくる。その考え方の違いがあるかもしれない」(伊達氏)
「これからJリーグも興行収入、スポンサー収入に加え、移籍金収入も経営の柱にしないといけません」(黄川田氏)
視察を終えた黄川田氏はこう締め括った。
「今回は良いヒントをもらうことができました。Jリーグとしてはクラブに押し付けることではなく、今回の視察で学んだ枠組みを我々なりにカスタマイズし提供することで、各クラブの現在地に合った育成戦略・パスウェイ戦略を立ててもらえるようにしたいですね」
取材・文●中田 徹
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定価:980円(税込)
定価:980円(税込)
定価:1100円(税込)