【コパ・アメリカ現地レポート】チリが4強一番乗り アグレッシブにウルグアイを撃破!

2015年06月25日 熊崎敬

ウルグアイを「ロープ際」に押し込んで激しくパンチを撃ち続ける。

難敵ウルグアイを退け、ベスト4に勝ち上がったチリ。悲願の初優勝へ、あと2勝だ。 (C) Getty Images

【コパ・アメリカ2015】
準々決勝
○チリ 1-0 ●ウルグアイ
[得点者]イスラ(81分)
 
 開催国チリがベスト4一番乗りを果たした。
 
 退けたのはコパ・アメリカ最多となる15回の優勝を誇るウルグアイ。この大会6勝4分け18敗と大きく負け越している"格上"相手の勝利に、国中が歓喜に沸き返った。
 
 負けたら終わりの決勝トーナメントを迎え、グループリーグでいまひとつ調子が上がらなかったチリが、本来のアグレッシブな姿勢を取り戻した。前半からウルグアイを激しく攻め立て、ゴール前に釘づけにする。
 
 新宿の雑踏のような密集地帯で次々とパスをつなぎ、右からイスラ、左からA・サンチェスやメナがサイドを深くえぐる。断続的なチリの攻めに、ほぼ赤一色のスタジアムは大歓声に包まれた。
 
 だが、ゴールは決して近くなかった。サイドは破っても、なかなか決定的なチャンスが生まれない。このあたり、ウルグアイはしたたかだ。攻め込まれても最後のところをきっちりと締めてくる。
 
 圧倒的に攻め込んでいるのはチリ、だが守りに徹したウルグアイほど厄介な敵はいない。どちらが主導権を握っているのか、よくわからない前半だった。
 
 攻め疲れの見えるチリは、後半もウルグアイを攻めあぐねた。スタジアムにも苛立ちが募り始めた。だが62分、膠着したゲームを揺るがす"事件"が起きる。ウルグアイのストライカー、カバーニが2度目の警告を受け、退場となった。
 
 試合前日に父親が交通事故を起こして逮捕されたことが精神状態に影響を及ぼしていたのかもしれない。うつむいてピッチを去るカバーニに、チリ人たちは容赦ない罵声を浴びせていた。
 
 これでチリは圧倒的に有利になった。10人になって攻撃をほとんど捨てたウルグアイの守りに手を焼いたが、81分、ついにイスラがゴールを決める。
 
 サンパオリ監督はパスとドリブルによる崩しから、ハイボール主体の攻撃に切り替え、長身FWピニージャを投入。これが功を奏した。左からのクロスを相手GKムスレラがパンチしたこぼれ球を、イスラが落ち着いて右隅に流し込み、これが決勝点となった。
 
 この1点が決まってから、ゲームはコパ・アメリカらしくケンカさながらになった。10人のウルグアイは荒々しいタックルを繰り出し、大観衆に後押しされるチリも負けずに応戦。88分にはフシーレが退場。9人になったウルグアイは、最後まで意地を貫き通した。
 
 強敵ウルグアイとの一戦で、あの強いチリが戻ってきた。ウルグアイを「ロープ際」に押し込んで、激しくパンチを撃ち続ける。その姿はワールドカップで見たチリと変わらなかった。
 
 前回チャンピオンを下したことで、チリ中が「もう優勝するしかない!」という雰囲気に包まれた。もしかすると本当に初優勝するかもしれない。
 
現地取材・文:熊崎敬
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事