ニュージーランド戦PKストップの裏で…守護神を支えた影の功労者・大迫敬介の献身【東京五輪】

2021年08月09日 林 遼平

「後ろには俺たちがいる」

五輪本大会では谷(12番)に出番を譲った大迫(左)。今後のライバル関係も続いていくか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 大会直前の強化試合、そして東京五輪本番で守護神の座に君臨したのは谷晃生だった。第2ゴールキーパーという立ち位置は受け入れ難く、メンタル的にも難しかったに違いない。特にこの世代での経験値で谷を上回る大迫敬介からすれば、不貞腐れても不思議はなかった。

 だが、決して下を向かなかった。その強い気持ちはトレーニングに臨む姿勢からも伝わってきた。

「いつ出番が来てもいいように」

 先発ではないとわかっていても、一つひとつの練習にこだわり、いつでも出られる準備を続けていた。
 
「もちろん悔しい気持ちはあります。だけど、この大会は本当にチーム力が求められている。(鈴木)彩艶と晃生、キーパー3人が常に良い準備をして、その中で競争を勝ち抜いた者がピッチに立ち、出られなかった2人はサポートするだけ。どんな状況になろうとも変わらず準備したい」

 そうした姿勢がGK陣の士気を高めた。ニュージーランドとの準々決勝では、PK戦を前に川口能活コーチを交えて4人で肩を組み、「後ろには俺たちがいる」と声をかけて谷を鼓舞。そして谷のシュートストップもあり、PK4-2で勝利を収めた。

 悔しい思いは胸にしまい、現実を受け止めたうえで守護神を支える。谷の輝きの裏に、この男の存在があった事実を忘れてはならない。

取材・文●林遼平(フリーライター)

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