【釜本邦茂】素晴らしかった久保建英の仕掛けの意識。日本は“のらりくらり”の南アに合わせ過ぎた

2021年07月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

勝つには勝ったが決してチームとして良い試合をやったわけじゃない

決勝点を叩き出した久保。アグレッシブな姿勢がチームを救った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表の東京五輪グループステージ初戦は難しい試合だったけど、なんとか勝点3を獲れたというのは大きかった。南アフリカが試合をできるかどうか分からないという状態のなかで、お互いにモチベーションの保ち方や試合への入り方には困難があったと思う。そんな状況でまずはしっかり試合ができた。両チームともにしんどかっただろうね。

 ただ、日本は勝つには勝ったけど、決してチームとして良い試合をやったわけじゃなかった。相手は自分たちのコンディションや置かれた状況を分析して、自陣に引いてカウンターを狙う作戦をとってきた。それに対して日本は、のらりくらりとかわそうとする南アフリカのペースに付き合う形で、足もとへのパスが多くなり攻撃がスローダウンすることが多かった。

 時折、テンポを上げてフィニッシュまで持ち込んでも、そこは相手もしっかりとブロックして思うようにさせてくれない。南アフリカは、日本にある程度自由にやらせておいて、危険なゾーンでは厳しい対応でうまく凌いでいた。暑さのせいもあったかもしれないが、日本の攻撃は単調だった。もっと自ら打開する積極性がなければ、あれだけ中を堅く閉じたブロックは崩せない。パス、パス、パスと足もとでばかり繋いでも相手の守備は隙をつくらない。個の力で仕掛けていくからこそ相手の脅威になるんだ。
 そういう意味では、後半の久保は随所にアグレッシブな仕掛けを見せていた。得点シーンも逆サイドからのフィードをワンタッチでコントロールして、やはり自分の得意なゾーンに自ら持ち込んで左足を振り抜いた。トラップからボールの運び方、フィニッシュまで、一連の流れが本当に素晴らしいゴールだった。他の攻撃陣の選手たちも、久保のように仕掛けるという意識を持って、もっと個の力をペナルティエリア付近で発揮してほしい。

 とはいえ、いろんな意味で難しい試合を制して勝点3を奪ったのは評価できる。これを活かすためにも次のメキシコ戦が重要だ。中2日で連戦が続いていくだけに、この日のパフォーマンスに左右されず、気持ちを切り替えて臨んでほしいものだね。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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