【釜本邦茂】モンゴル戦、「もう少し考えてパス出せや」って思ったら… 大迫はドイツに戻ってからが勝負

2021年04月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

相手が警戒しているところに普通にクロスを入れても…

モンゴル戦でハットトリックを達成した大迫。ドイツでの奮起を期待したい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 3月の2連戦で日本代表は韓国に3-0と快勝し、モンゴルには14-0の歴史的なゴールラッシュで大勝したね。まあスコアを見れば、2試合とも非の打ち所がない結果ではあるね。

 まず日韓戦では全員にしっかりと攻守の切り替えの意識があって、相手の目先を変えるようなテンポの良いパス回しと同時に、取られた瞬間に守備に転じることもできていた。韓国に少し元気がなかったのも事実だが、あれを最低限のベースにできればさらに進化したスタイルにも期待できそうだ。最終予選で当たるかもしれない相手に快勝できたのも、先を見据えればいい結果だったと思う。

 一方、モンゴルとは力の差があったにせよ、日本の最後まで全力で戦う姿勢は良かったし、汚いプレーに走らず、自分たちがやってきたことを出そうとするモンゴルの戦いぶりも良かった。ただ日本の攻め方で気になったのは、相手が中を固めてきた時に単純に放り込むシーンが何度かあったこと。案の定、中の選手はシュートを打ち切きれず、攻めきれないという時間が続いた。

 相手が警戒して何人もかけてゴール前を固めているところに、普通にポーンとクロス入れても、そりゃ点になる可能性は低いよ。もう少し考えてラストパス出せや、って思ってたら、普通のクロスだけじゃなくてグラウンダーのパスをスルーして味方につないだり、中に切れ込んでワンテンポ遅れて入ってきた味方に折り返すとか、サイドから工夫して崩す場面も出てきて、次々ゴールにつながったのは良かった。

 相手がもっと強くなってくれば、モンゴル戦のように簡単にゴール前にボールを入れさせてくれないだろうけど、いろんなパターンでゴールに結びつけられて良いイメージを持ってそれぞれのクラブに帰ることができたんじゃないかな。

 クラブと言えば、気になるのは大迫だね。今シーズンはだいぶ出番も限られていて、まだ公式戦でゴールを取れていない。この代表戦が始まる前はしっかり実戦に対応できるのか不安もあったけど、見事に健在をアピールしてくれた。

 ストライカーは、やっぱりゴールから遠ざかると得点感覚が鈍ってしまうのは否めない。そういう意味でも、韓国戦で2アシスト、モンゴル戦で3得点・1アシストと結果を残して、ゴールへの感覚が掴めたのではないかな。

 U-24 でも林大地のようにイキの良い新顔が登場したりして、刺激になっているはず。これまで自分の地位を脅かすライバル選手がさほどいなかったから、とくに五輪後は下からの突き上げもあって熾烈な競争が始まると思うし、今回のいい流れをクラブに持ち込んでゴールを量産してほしいね。ここからが本当の勝負になるはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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