【名古屋】ノヴァコヴィッチ起用の弊害とどう向き合うか

2015年03月23日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

攻撃に課題を露呈したのはこの試合に限った話ではない。

ノヴァコヴィッチをトップ下に置いたシステムが機能しなかった名古屋。「テコ入れが必要」と話す西野監督は、このスロベニア人FWの起用に対しどう向き合うか。(写真:田中研治)

 4日前のナビスコカップで今季公式戦初勝利(対川崎/○3-1)した勢いを持って鹿島戦に臨んだが、1-1のドローに終わり、「納得はできないし、いろいろとテコ入れをする必要がある」と、西野監督の表情は冴えなかった。
 
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 この試合、トップ下にノヴァコヴィッチ、1トップに川又を並べる4-2-3-1でスタートしたが、前半はシュート1本に終わった。起点となるノヴァコヴィッチにボールを集めても鹿島のボランチ梅鉢にことごとく潰され、逆に前掛かりになった隙を突かれ逆襲を喰らった。
 
 名古屋にとっては左サイドの永井を封じられたことも誤算だった。コンパクトな守備陣形を敷いてきた相手にスペースを消され、マッチアップしたDF西に「ボールを触らせてもらえなかった」(永井)。抜群のスピードで最終ラインの裏に抜け出してチャンスメイクする場面もなく、まんまと相手の術中にハマってしまった。
 
 もっとも、攻撃面の課題を露呈したのは、鹿島戦に限った話ではない。前節の甲府戦でも、ポゼッション時に相手をどう崩すのか、形を見出せないまま0-1で敗れた。前述したナビスコカップは攻撃的な相手の隙を突き、カウンターがハマった末の快勝であり、「まだまだ遅攻の戦いが上手くできない」(西野監督)のが現状である。
 
 気がかりなのは、ノヴァコヴィッチをいまだ活かし切れていない点だ。今季、新たに加入したスロベニア代表FWは、ここまで3試合に先発して1得点。ゴール前での得点感覚は光るが、縦やサイドに動き回るタイプではないため連動性が出てこない。とりわけ、遅攻時には停滞感を生む要因になっている。
 
ノヴァコヴィッチのパフォーマンスを、西野監督は「状態は悪くはない」と前置きしつつもこう続ける。
「動きがセンターに偏りがちで、ダイナミックさに欠けていた。今日はトップ下だったので、川又の空いたスペースだったり、入れ替わって前線に飛び出していく動きを要求していた。もう少し左右に動くプレーがあれば全体の動き出しを作れた」
 
「相手の出方によって、柔軟に攻撃パターンを選択していきたい」(西野監督)と話すように、ポゼッションだけに拘っているわけではなく、川又やノヴァコヴィッチらの高さを活かした形や、永井のスピードを活かしたカウンターも今季の名古屋の武器となる。
 
 しかし逆に言うと、今はそれに頼るしか得点が奪えないのも確か。2列目に矢田や小屋松のようにリズムをもたらせる駒を並べ、1トップには復調しつつある川又を置いたほうが、遅攻時の課題解決を探るには一番の近道のようにも見える。それでもノヴァコヴィッチの起用に拘るのか――。指揮官が課題とどう向き合うかが注目される。
 
取材・文●橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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