「とても憎かった」リバプールOBが智将ベニテスからの“非情な戦力外通告”の瞬間を激白「出ていきたくなかった…」

2020年11月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

“最愛のクラブ”を追われた男

リバプールを率いて一時代を築いたベニテス。そのリアリスティックな手腕が明らかになった。 (C) Getty Images

 愛するクラブでプレーするのは、選手にとってこの上ない幸せだ。だが、その居場所を去らなければいけなくなれば、辛さも人一倍となる。

 かつてリバプールで活躍したダニー・マーフィーは、2004年の夏に自分を移籍へと向かわせた指揮官を憎むまでに至ったという。彼にリバプールから出て行くことを勧めたのは、スペインの智将ラファエル・ベニテスだ。

 英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』でマーフィーは、「ラファからもうリバプールで望まれていないと言われたのはキツかった」と振り返っている。

「彼は正直に言ってきたんだ。『自分の選手たちを何人か連れてきたい。君はスタメンのひとりにならず、チームに入ることはないだろう。残りたいといっても、あまり意味はない。君が試合に出たいのは分かっている。出ていったほうが良い』とね。少し彼に頼み込もうとしたけど、彼は彼のやり方で私の時間は終わったと繰り返した」

 さらに「それからの2日は人生で最も辛い2日間だった」と明かしたマーフィーは、「どうすればいいか分からなかった。出ていきたくなかったんだ!」と語気を強めながら語った。

「ラファは分かっていなかった。私が子どものころにずっとリバプールでのプレーを夢見ていたことや、色々な思い出や気持ちがあることをね。彼は彼の仕事をしただけなのは分かっている。だが、辛かったんだ」
 
 明確に構想外を伝えたベニテスの姿勢を評価しつつも、憎まずにいられなかったマーフィーは、「あの時の会話を覚えている。彼はちゃんとしていた。フェアだった」とも続けている。

「当時は彼を憎んだよ。でも、今ではそれもなくなった。彼がしていたことを理解している」

 それでも、マーフィーは移籍したことに悔いがあるようで、「今でも残留すべきだったと思っている。もう少し残り、自分を信じるべきだった」と付け加えて、「だけど、彼が連れてきた選手たちは悪くなかっただろう?」とも口にした。

「シャビ・アロンソにルイス・ガルシア……そして彼らはそのシーズンでチャンピオンズ・リーグ優勝を遂げた。彼は正しかったと示されたんだ」

 あと1年だけリバプールにとどまっていたら、あの「イスタンブールの奇跡」を体験できていたが、マーフィーは何を想っているだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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