【J1終盤戦のシナリオ|大分】指揮官は“捲り”に手応え!来季に向けて試すべきオプションは?

2020年11月11日 柚野真也

5連敗を喫した時は泥沼にハマりそうだったが…

【最新試合の布陣/26節横浜FC戦】

 コロナ禍によりリーグ中断や降格無し、交代枠が5人に増えるなど異例のシーズンとなった2020年のJ1リーグも終盤戦に突入した。ここでは各クラブの番記者にここまでの評価と残されたシーズンでの現実的な目標をアンケートした。

――◆――◆―

大分トリニータ
今季成績(11月11日時点):12位(勝点33/9勝6分11敗)、残り8試合

【当初の目標】勝点55、総得点50、総失点35でAクラス入りの6位
【今季ここまでの評価】65点/100点

【採点理由】
 コロナ禍でコンディションが整わず、全員が揃って練習できる時間を確保するのに苦労。さらに連戦も重なり、とりわけシーズン序盤は、戦い方を落とし込める時間が十分になかった。低コスト高パフォーマンスが求められるチームにとって、戦術の浸透こそが生命線であるだけに、この状況は痛恨だった。

 5節から5連敗を喫した時は泥沼にハマりそうだったが、就任5年目の片野坂知宏監督がブレずにGKからビルドアップする大分スタイルを貫いたことで、快方に向かった。同時に選手のコンディションも整い、ボールを動かすテンポが上がり、サイドを起点に狙いとする戦い方ができている。

 最近は新加入選手が「チームの決まりごと」だけをこなすのではなく、自分の持ち味を出す余裕が出てきた。片野坂監督は「選手交代で戦い方の幅ができてきた」と手応えを口にしており、終盤戦の"捲り"は期待できそう。目標の6位到達は困難だが、来季につながる終わり方に期待したい。
 
【注目の一戦】第28節・川崎戦
 昨季から3連敗。手も足も出なかった難敵に対し、今季の成長を図るバロメーターとなる。

 片野坂監督の続投が大前提だが、来季は主力の入れ替えは少なく、現行のメンバーで戦うことになりそう。ならば来季を見据え、戦術の成熟を図り、オプションを増やしたいところだ。田中達也や三竿雄斗のようにユーティリティ性のある選手がいると交代枠を使わずに、戦況によって戦い方を変更できるため、今季は重宝された。彼らのように複数のポジションで機能できる選手が増えれば、戦術の幅が広がることは明らかだ。

 幸い今季は降格がなく、優勝争いに加わる位置にもいない。大胆に選手のポジションを試す絶好の機会であり、消化試合にするには勿体ない。26節横浜FC戦で見せた町田也真人のボランチ起用、堅守遅攻からの脱皮、長期離脱から復帰の目処が立った小林裕紀と中盤の組み合わせなど試せることは多い。

文●柚野真也(フリーライター)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事