「とんでもない怠け者だ!」指揮官モウリーニョとデリ・アリの“すれ違い”はこの罵声からはじまった

2020年09月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

中1日で臨んだカップ戦でもメンバー外に

英国メディアが連日のごとく報じているモウリーニョ監督とアリの確執。移籍期限の10月5日までになにかしらの動きはあるのか。(C)Getty Images

 もはやカップ要員でさえないのか。イングランド代表MFがまたしても、ベンチ外の憂き目に遭った。

 現地火曜日に行なわれたイングランドのカラバオカップ(リーグカップ)ラウンド・オブ16、トッテナム・ホットスパー対チェルシーの一戦。中1日の強行軍を強いられたスパーズは土曜日にリーグ戦を戦ったスタメンから8名を入れ替えて臨んだが、長きに渡ってチームの中軸を担ってきたデリ・アリはベンチメンバーにさえ入らなかった。

 今季のアリは、ここまで公式戦5試合を戦ったトッテナムにあって、わずか2試合に出場したのみだ。プレミアリーグ開幕のエバートン戦で先発を飾ったものの前半45分間で交代を命じられ、あとはヨーロッパリーグ予選の1試合でプレーしている。

 かねてからアリに対して不満を持っていたジョゼ・モウリーニョ監督だが、もはやその確執は隠しようがないほどだと、英紙『The Sun』は指摘。「いかにしてモウリーニョとアリは破局したのか」と題して、事の発端についても掘り下げている。

 欧州フットボールシーンで現在、大きな話題を集めているのがひとつのドキュメンタリー番組だ。アマゾン社が制作した「All Or Nothing」で、フットボールクラブの内部深くにカメラを持ち込んで真の姿をあぶり出すリアリティー番組である。新たに9月頭からリリースされたのがトッテナム版。昨年11月のモウリーニョ新政権発足時からの動向を追った内容で、名将のチームマネジメントの真髄が浮き彫りになっている。

 そのなかで、就任当初にモウリーニョがミーティングで選手たちに語りかける場面がある。そこでポルトガル人指揮官はアリに向かって「君はとんでもない怠け者だ!」と罵声を浴びせた。突然の批判にアリは困惑の微笑を浮かべたが、その数日後にもふたたび「よく分かった。なんて怠け者だ!」と評され、仲間たちの前で槍玉に上げられたという。

 モウリーニョは番組内で次のように回顧している。

「デリに訊いたんだ。君はデリなのか、それともデリの弟なのかと。彼はデリだと言った。オッケー、だったらデリのようにプレーしてくれよとね」
 
 そしてドキュメンタリーでは、モウリーニョがダニエル・レビー会長の部屋を訪れ、アリについての所見を述べる場面も収録されている。そこで指揮官は「デリに直接言いましたよ。君は真面目に練習に取り組んでいないと。災害ではないが、ハリー・ケインでもないともね。ケインは非常に熱心に練習をしていますから」とぶちまけた。

 同時にモウリーニョは、かつてマンチェスター・ユナイテッド時代にサー・アレックス・ファーガソンがアリを高く評価し、「彼を獲得すべきだ」と提案された事実もレビー会長に明かしている。特大のポテンシャルを持っているのに力を発揮し切れていない──。そこにもどかしさを感じ、モチベーションを喚起させる意味で、モウリーニョはアリに"愛のムチ"を振るったのだろうか。

 実際にアリは大いに期待に応え、モウリーニョ政権発足からの4試合で3得点・3アシストと出色の出来を披露した。

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