「タケは最大のライバルに一歩リードされている」3戦目を終えた久保建英の現状をスペイン紙番記者はどう見ているのか?【現地発】

2020年08月29日 ハビエル・マタ

開幕戦のスタメンでも不思議ではないメンバー

バレンシア戦で67分からピッチに立った久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 ビジャレアルとタケ・クボ(久保建英)にとってのプレシーズン3戦目は、ホロ苦い結果になった。相手は同じバレンシア州の最大のクラブ、バレンシア。毎シーズン、欧州カップ戦の出場権を争う直接のライバルでもある。

 ビジャレアルは、8分にサムエル・チュクウェゼのゴールで幸先よく先制しながら、後半相手のエースストライカー、マキシ・ゴメスのドブレテ(2得点)を許し、1-2の逆転負け。タケも出場は後半途中からの30分以下にとどまり、しかもそのチームが逆転される時間帯と重なるという厳しい状況下でのプレーだった。

 ウナイ・エメリは、初戦のカルタヘナ戦と2戦目のテネリフェ戦に続いてこの日も4-4-2を採用。GKがセルヒオ・アセンホ、DFが右からルベン・ペーニャ、ラウール・アルビオル、パウ・トーレス、アルフォンソ・ペドラサ、ダブルボランチはフランシス・コクランとダニエル・パレホが形成。左右両サイドにはモイ・ゴメスとチュクウェゼを配し、2トップにジェラール・モレーノとパコ・アルカセルを並べるという開幕戦のスタメンであっても不思議はない布陣で臨んだ。

 タケにとってはプレシーズンマッチとはいえ、強豪相手の試合でポジション争いのライバルであるチュクウェゼとモイ・ゴメスがスタメンで起用されたことは現在のチームにおける立ち位置を示していると言えなくもない。

【動画】バレンシア戦の前の"新歓"で「ドラえもん」を熱唱する久保建英!チームメイトが爆笑する様子はこちら
 実際、タケはモイ・ゴメスに代わって67分に投入されそのまま左サイドでプレー。モチベーショは高まっていたはずだが、直前(65分)にバレンシアがマキシ・ゴメスのゴールで同点に追いつき、試合のペースは明らかに相手側にあった。結局74分にもマキシ・ゴメスに得点を許し、そのままビジャレアルは逆転負けを喫した。

 そうしたチームが劣勢を強いられる時間帯で、タケはボールを持てば、得意のドリブルで突破を試みたが、この日はプレーの精度を欠き、見せ場らしい見せ場を作ることができなかった。チーム自体にチャンスが少なく、試合の主導権が相手側にあったことを差し引く必要はあるが、タケに期待される局面を打開するプレーを見せることができなかったのは事実だ。

 また特筆すべきは、この日先制ゴールを決めたチュクウェゼが好調ぶりをアピールしていることだ。エメリ監督がこのままタケを左右問わずサイドのポジションに固定していくかは今後の起用法を見なければならないが、タケにとってもっとも能力を発揮できる右サイドにおいて、ポジション争いの最大のライバルが現時点で一歩リードしていることは間違いない。

 もちろん試合が終わったばかりで、まだまだ巻き返す余地はある。プレシーズンマッチは残り3試合。タケにもスタメンの機会が回ってくるはずで、そこで少しでも自分の持ち味を発揮して開幕に向けてアピールしていきたいところだ。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸

【画像】バレンシア戦後に"韓国の至宝"イ・ガンインとハイタッチを交わす久保建英

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