「どけ、俺の席だと言われ…」元フランス代表FWが明かしたマドリー時代の“洗礼”「メディアにもハメられた」

2020年08月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

わずか1年で退団したマドリー時代を回想

チャンピオンズ・リーグが唯一のタイトルとなったマドリー時代のアネルカ(19番)。多士済々のチームの中で彼は何を経験したのか? (C) Getty Images

 この夏に公開されたドキュメンタリー作品での"衝撃の告白"が話題を呼んでいる。

 話題作の主人公となったのは、元フランス代表FWのニコラ・アネルカだ。約19年に及んだキャリアでパリ・サンジェルマンやアーセナル、チェルシーなど7か国12クラブを渡り歩いたジャーニーマンは、プレミアリーグの得点王(2008-09シーズン)にも輝き、69キャップで14ゴールを記録したレ・ブルー(フランス代表の愛称)では9番を背負うなど華々しいキャリアを歩んだ。

 そんなアネルカが自身のフットボーラーとしての人生にスポットライトを当てた自伝的作品『Anelka:Misunderstood』で告白した内容が実に興味深い。英紙『The Sun』が伝えたところによると、アネルカは、1999年の夏に当時としては高額の移籍金2500万ユーロ(約30億円)で加入しながら、わずか1年で退団したレアル・マドリー時代の逸話を披露している。

「それこそ初日さ。記者会見の後に、俺はドレッシングルームへ行き、空いていた席に座った。すると、ある選手が来て、『どけよ、そこは俺の席だ』と言われたんだ。仕方なく、違うところに座ると、また同じことを言われ、全員が入ってくるまで言われ続けた。結局、トレーニングするために立って着替えなければならなかったんだ」
 
 当時、弱冠20歳だった新参者に対する"洗礼"に関して、「悪夢の始まりでしかなかった」と語ったアネルカは、こう続けている。

「おそらくそんなことが20回以上もあって、『俺は何をしにここへ来たんだ? イライラするためか?』と素直に思ったね。ある時に、Marca(マドリーの贔屓紙)の事務所に招待されたことがあった。俺は彼らとは話をしたくなかったんだけど、『写真を撮影するため』と言われて行ったんだ。

 そこで『君はFIFA(TVゲーム)をするかい?』と記者に尋ねられて、一緒にプレーして、確かアトレティコ・マドリーを相手にゴールを決めた。すると、翌日の見出しに『アネルカがついにゴールを決めた……ゲームで!』と皮肉られたんだ。いわゆるプレス・トラップさ。メディアにもハメられたんだ。振り返ってみればメチャクチャだった」

 キャリアで初めてとも言える挫折を味わったマドリー時代を振り返り、「後から考えれば、俺は若すぎたんだ」と反省も口にしている。

「もしも、レアル・マドリーでプレーしたいなら、少なからず犠牲を払う必要がある。そして言ってはいけないことも、やってはいけないこともある。おそらく自分にとっては早すぎたのかもしれない」

 このアネルカの告白からも分かるように、数多のスターたちが歴史を彩ってきたマドリーで成功するには、やはり成熟したメンタルが必要なようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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