【湘南】約50日ぶりにトップチームが練習再開。「みんなとボールを蹴れるって幸せ」と背番号10

2020年05月28日 隈元大吾

「サッカーの要素を少しずつ入れていく形で」約1時間トレーニング

27日より2グループに分かれて練習を再開。選手およびスタッフはマスク着用で練習を行なった。写真:隈元大吾

 仲間との再会を祝福するかのような好天のもと、5月27日、湘南のトレーニングが再開した。とはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大がいまなお懸念される状況下、選手全員が一堂に会することはまだできない。午前中2コマに時間帯を分け、少人数のグループ練習を行なった。

 それでも、4月5日の活動休止からおよそ50日ぶりとなるチームとしてのトレーニングに選手たちの表情は明るい。

「みんなとこんなに綺麗な芝の上でボールを蹴れるって幸せだなと改めて感じました」

 昨季から引き続き湘南の背番号10を纏う山田直輝は、練習後のオンライン取材の画面越しに白い歯を見せ、こう続けた。

「当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないということを今回感じた。これから先も、今までの生活が当たり前じゃないということを気付かされる場面は多いと思うので、サッカーができる今の環境に感謝してやっていかなければいけないと思いました。一日一日、自分の身体と向き合って、試合の日程が決まったらそこに向けてフルでできるようにしっかり身体をつくっていきたい」

 選手会長の大野和成も同じく、次のように喜びを口にした。

「期間が空くにつれてサッカーしたいなという気持ちが強くなりました。今日はシンプルにきつかったので、試合に向かう身体をこれから徐々につくっていかなければいけない。でもみんなと久しぶりにサッカーができてよかった。きつかったけど楽しかったです」
 
 選手たちはグラウンドを広く使いながらダッシュやステップワークなどさまざまな要素を散りばめたメニューで約1時間汗を流した。「今日はサッカーの要素を少しずつ入れていく形でトレーニングしました」と浮嶋敏監督が練習の意図を語る。

「今までは身体のスイッチを切らないように自主トレを各自やってきましたが、今日からはサッカーのスイッチを入れて頑張っていこうと話した。自主トレではみんな有酸素的なランニングを中心にやってきている。今日は距離感を取り、コンタクト無しのなかで、サッカー的なアジリティとパスやドリブル、シュートの要素を入れたトレーニングを行ないました」

 さらに指揮官は公式戦の再開を見据え、チームのこれからをこんなふうに思い描く。

「(活動を休止して)2か月近く時間が経ってしまったので、プレシーズンでやってきていることをトレーニングでしっかり思い出し、短い期間でしっかりコンディションを上げていきたい。ここから先は試合日程も詰まるはず。誰も経験したことのないようなシーズンになると思います。その意味では、全員が戦力になり、全員で戦って乗り越えていけるチームにしていきたい」

 今後は新たに組まれる日程を待ちつつ、グループトレーニングから全体トレーニングへの移行を視野に入れる。コロナ禍を踏まえて慎重に、けれど着実に歩を進めていく。

取材・文●隈元大吾(フリーライター)
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