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苦しむフランクフルトで3バック回帰論が浮上! 長谷部誠に求められる役割とは?【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2020年05月23日

重要な存在であるからこそ、起用法が重要

長谷部は、フランクフルトとの契約延長が発表された。期間は2021年夏まで。 (C)Getty Images

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 フランクフルトは大丈夫だろうか。

 新型コロナウィルス拡大により中断されていたブンデスリーガ再開戦でボルシアMGに1-3で完敗した。

 試合開始直後にゴールを許すと、浮足立ったまま7分にも追加点を決められる。フランクフルトサイドにもチャンスはあったものの、始終ボルシアMGに主導権を握られ、さらに失点をしてもおかしくない展開だった。

 フランクフルトは後半戦に入ってから、本格的に着手した4バックへのシステム変更がうまく機能し、後期序盤の4試合で3勝1分けと好スタートを切っていた。アディ・ヒュッター監督も「4バックへの変更が守備の安定に結び付いた」と喜んだが、その後はリーグで3連敗。ヨーロッパリーグ(EL)でレッドブル・ザルツブルク相手に好ゲームを披露し、勝ち残りを決めたことで、大きな問題とはならなかったが、リーグ中断前のレバークーゼン戦、そしてELバーゼル戦では0-4、0-3とそれぞれ厳しい結果となってしまった。

 このボルシアMG戦でも攻守のバランスがかみ合わない局面が多く、リズムを自分たちで作り出すことができずに苦しんでいた。守備はどこか淡白で、攻撃ではつながりが乏しい。

 アンカーでスタメン出場していたシュテファン・イルザンカーは、ヒュッター監督からの信頼が厚い。ハートあふれるプレースタイルで、どんなときでも諦めず、時に相手に体をなげうってはボールに食らいつく。ただ、ゲームコントロールという点になると、厳しい面を持つ。ボルシアMG戦では約5本に1本の割合でパスが相手に渡ったり、サイドラインを割ったりしていた。パス成功率はあくまで一つの目安でしかないし、どんな狙いで放たれたパスかによっても、解釈は変わってくる。そして、どんな選手でも得意なプレーとそうでないのがあることは確かだ。

 プレースタイルとチームがかみ合わないと、ピッチの上で個々の力は最大限に生かされない。これまでイルザンカ―が所属していたザルツブルクやRBライプツィヒには、ボールを預ければ、素早く展開できる仲間がいた。彼はボールを奪取し、そこへパスを預けることが仕事だった。それが、今のフランクフルトには、その選手が周りにいない。イルザンカーが懸命にプレーしても、空回りを続けてしまう。

 ドイツ紙では4バックによる攻守のバランスが崩れてきていることから、3バック回帰の可能性が取りざたされている。『Frankfurter Rundschau』紙ではスポーツディレクターのブルーノ・ヒュブナー氏のコメントを紹介。「3バックはいつでもオプションになっている。長谷部誠という3バックシステムでかみ合う選手もいる」と可能性を否定はしない一方で、「ボルシアMG戦では8バックでプレーしていたとしても失点しただろう。システムは大事だが、それ以上に心構えと集中力が大事だ」と指摘していた。
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