「滴り落ちる血を見て我を失い…」元マンUコーチがベッカムとファーガソンの“スパイク事件”の真相を告白!

2020年05月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

ファーガソンの謝罪にベッカムは…

試合翌日の練習にはあえて額を出したヘアースタイルで登場したベッカム。縫い合わせた眉を世に晒した。 (C) REUTERS/AFLO

 アレックス・ファーガソンとデイビッド・ベッカム。マンチェスター・ユナイテッドで一時代を築いた両者の師弟関係を崩壊させた事件があった。

 2003年2月15日に行なわれたリーグカップ3回戦のアーセナル戦の後だった。ライバルに0-4で完敗を喫していたこともあり、フラストレーションを溜め込んでいたファーガソン監督は、怒りの矛先を低調なパフォーマンスに終始した貴公子へと向ける。

 激高した指揮官が我を忘れて蹴り上げたスパイクが、あろうことかベッカムの左目の上をヒット。これで掴み合い寸前となった両者の関係は一気に冷え切っていったのだ。

 この事件が起きた当時、チーム内にはギスギスとした空気が流れていたという。その事実を証言するのが、元マンチェスター・ユナイテッドのGKコーチであるトニー・コットンだ。
 

 英紙『Daily Mail』のコラムにおいてコットンは、スター選手だったベッカムが憤慨した瞬間を次のように描写した。

「ファーガソンは床に落ちていた脱ぎかけのスパイクを見つけると、不満を爆発させるように蹴り上げたんだ。我々はそれをただただ見ることしかできなかった。そうしたらそのスパイクがベッカムの目に当たった。

 彼は滴り落ちる血を見た瞬間に我を失ったようにボスへ向かっていったよ。それでもガリー・ネビルとギグスの二人が止めて、冷静になったファーガソンも『スパイクを当ててしまって申し訳ない』と言ったんだ。これは誠意のこもった謝罪だった」

 しかし、ベッカムはファーガソンの謝罪を受け入れなかった。翌日の練習には、あえて傷跡を見せるように前髪をかき上げたヘアースタイルで記者の前に登場したのだ。コットンは、「彼のPR行動はファーガソンの喉を切りに行ったようなものだった」と振り返っている。

「ベッカムはファーガソンの差し伸べた手を怒って払いのけたんだ。そして翌日にはタブロイド紙に事件のことはリークされた。それはベッカムがあんな姿で出てきたからでもあった。全世界に何が起きたかを晒したんだ。私は、『デイビッドが出て行く時が来た』と思ったね。それからシーズンの最後の週まで、ベッカムが移籍することはクラブ史上で最も重要で、最悪の秘密となった」

 それから17年の月日が流れた。今では両者の関係は修復され、公の場でも親し気な姿を見せている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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