甲府の大卒ルーキー「中中コンビ」が開幕戦メンバー入り。若返りを図る“チームの象徴”となる可能性も

2020年03月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

中断期間でいかに持ち味をアピールできるか

開幕戦で先発した中塩と、ベンチ入りした中村。リーグ再開後の飛躍に大きな期待がかかる。写真:田中研治

 予期せぬ中断期間は、若手にとってみれば少しでも成長できる貴重な時間だ。

 それは、甲府の大卒ルーキー2人にとっても大きな意味を持つ。開幕戦で先発したDF中塩大貴と、ベンチ入りしたMF中村亮太朗。中断期間をポジティブに捉えて練習に取り組む「中中コンビ」は、リーグ再開後の飛躍に大きな期待がかかる。

 中塩は甲府のルーキーとして、2014年の下田北斗(現川崎)以来6年ぶりに開幕スタメンを飾った。立正大で主将を務めた左利きのセンターバックは、キャンプから武器のビルドアップ能力を発揮して先発を奪取。足をつって74分に交代したのは、DFとして反省材料だが、身体を投げ出したシュートブロックなどで無失点に貢献した。

 町田戦では、持ち味のビルドアップを発揮しれきれなかったものの、中断期間の最初に行なわれた横浜との練習試合では、サイドチェンジや縦パスを通して本来の姿を披露した。

 昨季のJ1王者のハイプレスに対して、「まだまだ過程(時間)は必要だけどやっていけるなと感じたし、楽しかった」と頼もしい言葉も。「自分の狙いというより(相手のプレスでスピード感などが)引き出されている感覚が大きかった。今回みたいなレベルでも自分で狙いを持ち、余裕を持てるようにしたい」と課題を見つめる冷静さを備えている。プロ1年目として、「(リーグまでの)1週間の流れで続けてやっていきたいという気持ちもあった」と本音を漏らしつつ「レベルアップできる期間」と頭はすでに切り替わっている。
 
 一方、開幕戦をベンチで見守った中村にとって中断期間は、先発入りへ名乗りを上げるためのアピールの時間となる。
 
「開幕戦に勝点3を取れなかったのはチームとしては残念だけど、個人としてはチャンス。試合まで期間が空く中で、練習試合を含めて自分がどれだけやれるかで、(再開後の試合に)先発できる可能性を広げられる」
 
 町田戦はボランチと前線、ボランチと最終ラインの距離感が悪く、パスのリズム、テンポが上がらなかった。各選手のポジショニングなどチームとして改善すべき点はあるが、中央大出身でゲームコントロールを得意とする中村が入ることで、個人で修正できる部分もあるだろう。ただ、練習では周りから求められる立ち位置と、自分が考える立ち位置のどちらを取るべきかで迷っている様子も窺えた。
 

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