【FC東京】優勝決定戦で浮き彫りになった課題…ACLでも結果を残すために高めるべき力は?

2019年12月08日 後藤勝

シュート数7対7、セットプレーの総数は23対20。3対0の結果が意味するのは…

序盤から幾度も決定機をつくり出したが、FC東京はゴールを捉え切れず。永井のシュートもネットを揺らせなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 どちらかといえば後方にブロックを築く守備に定評のあるFC東京が点を獲るために前からプレッシャーをかけに行った時点で、ショートカウンターを志向する横浜F・マリノスと、見かけのスタイルは似通ってしまった印象がある。横浜から見てシュート数が7対7、CKとFKを合わせたセットプレー総数が23対20という拮抗した結果も妥当なのかもしれない。それだけに、3対0というゴール数の差が浮き彫りになる。

 渡辺剛は序盤の内容に関して「まだ点を獲る力がないというのと、相手には不本意ですけど当たって入った得点があって運もあるし決める力もある。そういう部分は負けたと思っているので、そこは来年もしっかり上げていかないといけない」と言うと同時に、自らが絡んだ3失点目を悔やんだ。

 決定力は相対的なものでもあり、純粋にストライカーの力でもあるが、相手のディフェンダーが強ければ決定率が落ちるという性質のものでもある。

 東京は前線の決定力を高めると同時に、ディフェンダーの力も向上させていかないといけない。つまり、ゴール前の攻防に課題が残った。

 永井謙佑は前半の23分と38分に決定機を迎えたが決められず、田川亨介は至近距離で止められた後半5分のチャンスなどやはり2回の決定機をものにしていない。日本代表に選ばれている永井と田川の実力がそう低いとも思えないので、無得点というこの試合の結果は、横浜の攻撃陣よりやや劣っているとしても、横浜の守備陣が優っていたことの証でもあるだろう。

 横浜の先制点は東慶悟の足に当たったボールがゴール方向へと弧を描き、林彰洋の頭を越すループシュートのように飛んだもの。これは幸運がもたらしたと言ってもいいだろう。しかし前半44分のエリキは小川諒也と森重真人を振り切ってシュートを撃っている。後半32分の遠藤渓太も渡辺をかわした。これは個の実力だろう。そして森重、渡辺、小川はその強力な個に抗えるよう、いっそう守備を磨く必要がある。

 真に強い敵との出会いは、東京が抱える課題を明確にしてみせた。

 マリノスとの差を感じた部分は──と訊ねると、長谷川健太監督はこう答えた。
「差ですか。内容的にはそんなに差を感じるような内容ではなかったと思う。でも決めきるところに関しては横浜のほうが一枚上手だったのかなと思っています」

 この決定力があれば、ACLでも横浜は戦い抜けそうだ。そしてその差が東京にとっては命取りになるのかもしれない。JリーグのみならずACLで結果を残すためにも、ゴール前の力をさらに高めていかなくてはならないだろう。

取材・文●後藤勝(フリーライター)
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