【J1・31節クローズアップ】浦和が優勝へ王手 今節は“我慢”の李忠成が狙うヒーローの座|横浜 0-1 浦和

2014年11月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

失点をしない現実的な戦い方を選択した結果、ラインが下がり…。

 今節、横浜に1-0で勝利した浦和は、悲願のリーグ優勝まで"あと1勝"に迫った。次節のG大阪との直接対決に勝利すれば8シーズンぶりのリーグ優勝が決定する。
 
 スコアレスドローの様相も呈していた試合を決めたのはルーキーの関根。サポーターは試合を決めた新星の活躍に沸いたが、その影で「個人としてはダメダメだった」と唇を噛んだのは、李だった。
 
 李は熱いハートを持ち、戦う気持ちと責任感が強い男だ。この試合にも「自分がやるしかない」という強い気持ちで臨んでいた。前節の鹿島戦で興梠が右腓骨骨折の重傷を負い、戦線離脱。暗雲が立ち込めるなか、代わって最前線に入ったのが李だった。リーグ戦に1トップでスタメン出場するのは12節の甲府戦以来、19試合ぶり。燃えないはずがなかった。
 
 序盤から李は、ボールを収めて基点になる興梠とは異なり、フリックを多用しながらワンタッチではたき、ゴール前に飛び出すプレーで攻撃に関与。41分には阿部のくさびを絶妙なワンタッチプレーで鈴木に落とし、宇賀神がシュートを放つシーンを演出した。
 
 しかし、時間の経過とともに劣勢の展開に。横浜にボールを回され、チームもまず失点をしない現実的な戦いを優先し、全体のラインは下がった。その結果、「陽介もウメちゃんも距離が遠くなった」と、シャドーのふたりとの連係が希薄になっていく。
 
 さらに、味方から李に入るのは五分五分の難しいボールが多くなる。ただ、それでも「絶対チャンスは来ると思って前線で待っていようと思った」と辛抱強く戦い続けた。
 
 今季の浦和は"我慢すること"がひとつのテーマになっている。それは失点せずに耐えることを意味するが、李もまた違った意味で我慢していた。李がボールを欲しがって下がれば、チームはより押し込まれて苦しい状況になっただろう。
 
 ただ、結果として満足のいくプレーはできなかった。フル出場しながら得点はもちろん、シュートもゼロ。「勝ったけど、もっともっとやらないといけない」と反省した。
 
 次節のG大阪戦は3週間後。しばらく時間は空くが、興梠が戻っている可能性は低い。やはり1トップに入るのは李になるはずだ。
 
「勝てば2014シーズンが終わるので、次かなと思う」
 プレッシャーが大きいほどに燃え、逆境に置かれた方が好きだというストライカーは、今季最大の山場でヒーローの座を虎視眈々と狙っている。
 
横浜 0-浦和
得点者/浦=関根(79分)
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