「11人のコロンビアに勝つ」“異次元”の環境で鍛えられた昌子源が3月シリーズで掲げたテーマは?

2019年03月19日 一色伸裕

26歳と年齢では中堅だが、大黒柱にならなければいけない存在だ。

吉田や長友が不在のディフェンスを支えるのは、この昌子を置いて他にいないだろう。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 1月に鹿島アントラーズからフランス・リーグ1のトゥールーズへと移籍した昌子源が、昨年7月のロシア・ワールドカップ以来となる日本代表に復帰。18日の国内合宿初日に参加した。
 
 ワールドカップ直後に左足首を負傷し長期離脱。10月中旬に復帰してからは、鹿島がアジア・チャンピオンズリーグ優勝の過程を歩み、昌子も海外移籍を実現させるなど招集が見送られ、約8か月半ぶりの代表招集。森保体制下の日本代表には初の選出となった。
 
 移籍時、「世界を止められるようになりたい」と強い想いを持って渡欧。その想いを具現化するべく、すぐに定位置を確保した。しかし、同時に最高峰の戦いの厳しさも痛感し、「世界のレベル。常に外国人選手との対戦。衝撃だった。この期間はいろんなところで悔しい思いをしたし、精神的に鍛えられた」と3か月を振り返った。
 
 歴史的な背景もあり、リーグ1は他の欧州リーグよりもアフリカ系の選手が多い。スペインのテクニック、ドイツやプレミアリーグの戦術的なサッカーとは異なり、フィジカルで勝負する場面が多く見られるのがひとつの特徴。Jリーグとは違うこの"異次元"の環境に、昌子は自ら飛び込んだ。

 ワールドカップのセネガル戦などアフリカ勢との対戦経験はあるが、フランス代表FWエムバペ(パリ・サンジェルマン)ら屈強なアタッカーたちと毎週のように対峙。わずか3か月ながらも9試合連続フル出場していることで、「岩だった。岩が恐ろしく早いスピードでくる。そんな感じ。最初はそれに対応できなく、一歩が出なかった。いまはやられることもあるけど、それなりにできるようになった」と確実に手応えを感じている。
 
 代表復帰初戦の相手は奇しくもコロンビア。ラダメル・ファルカオを封じ込み評価を上げた昌子のワールドカップデビュー戦の相手だ。急成長をみせる昌子にとって実力を試すこの上ない強豪。「ワールドカップと同じ雰囲気やテンションにはならない。ただ、僕らにとっては大事な試合。ワールドカップは10人のコロンビアにしか勝っていない。11人のコロンビアに勝つ。そこを大事にしたい」と真価を示す構えだ。
 
 ロシア大会をともに戦った本田圭佑や長谷部誠はもういない。吉田麻也も長友佑都も今回はともにピッチに立つことはない。26歳と年齢では中堅だが、大黒柱にならなければいけない存在であり、「(現代表は年齢が)下の選手が多い。チームを引っ張らなければいけないのは感じている。経験したことをちょっとでも還元していきたい」と自覚する。
 
 20歳の冨安が頭角を表わすなど、日本代表のセンターバックのポジション争いは熾烈を極めるが、それでも昌子には焦りはない。兼ね備える資質とキャプテンシーは周囲も認めるところで、積み上げてきた経験、積み上げていく経験が、昌子をさらに成長させる。
 
取材・文●一色伸裕(産経新聞社サンケイスポーツ)

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