ベッカム、“恩師”の死に心境を綴る「僕に人生の教訓を教えてくれた」「偉大なコーチを失った」

2019年02月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

ユナイテッド伝説の世代に基礎を叩き込んだ男

ファーガソン政権下のユナイテッドで、アイコンというべき存在だったベッカム(左)。そんな彼に基礎を教えたのは、ユース時代の恩師E・ハリソンだった。 (C) Getty Images

 2月14日、元マンチェスター・ユナイテッドユースの指揮官であるエリック・ハリソンがこの世を去った。享年81歳だった。

 日本では、E・ハリソンの名前はあまり聞き覚えがないかもしれないが、彼は文字通りの伝説のコーチだ。最大の功績は、1990年代後半から2000年代初頭にかけてユナイテッドで黄金期を築き、時代の寵児ともなったデイビッド・ベッカム、ライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ガリーとフィルのネビル兄弟、ニッキー・バットらを育てたことにある。

 アレックス・ファーガソンがトップチームの指揮官となった1986年からユナイテッドの育成責任者となったE・ハリソンは、まだティーンエイジャーだったベッカムやギグスらに基礎を徹底的に叩き込み、93年にFAユースカップで決勝進出を果たすと、95年には同大会で優勝。教え子たちをトップチーム昇格へと導いた。

 ファーガソンの下で大成したことから、多くのファンの間では「ファギー・フレッジリングス(ファギーの雛鳥)」と呼ばれたベッカムら"伝説の92年組"だが、彼らの台頭は、E・ハリソンの存在なくしてあり得なかった。

 4年前から認知症も進行していたため、長く表舞台からは姿を消していたが、イングランド・サッカー界に多大なる影響をもたらした指導者の死に、当時を知るユナイテッドの関係者が続々と哀悼のメッセージを発信。そのなかで"恩師"への熱き想いを自身のインスタグラムで綴ったのはベッカムだった。
 
「僕らは、僕らを作ってくれた師であり、偉大なコーチ、そして偉大な男を失った」と書き出したイングランド・サッカー界の貴公子は、恩師との思い出を振り返るように長文を記した。

「彼はプレーの仕方、決して諦めないこと、個々の争いで勝つことの重要性、そしてマンチェスター・ユナイテッドというクラブでプレーするために必要なことを教えてくれた。彼は僕らをいつでも見てくれていて、プレーする時はいつも一緒だった。僕はまだ彼が『俺には他に何もないからな!』と言ってくるのが聞こえてくるよ。クリフの練習場で僕らを見下ろして、誇らしげな笑い声を上げながら、拳をあわせて大きな音をさせているのも思い出すね。

 彼は一生懸命に働くことの重要性を僕らに理解させた。そしてピッチ内外で互いを尊重させることを教えてくれた。僕は彼が教えてくれた人生の教訓を忘れはしない。エリック、僕らはあなたを愛しているし、今があるのはあなたのお陰です。ガリー、フィル、ライアン、ポール、ニッキー、そしてデイビッドより」

 E・ハリソンが認知症を患ってからも交流していたというベッカムらユナイテッドの黄金世代。そんな彼らの絆は永遠に残り続ける。

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