「精神が崩壊しそうだった」ロシアW杯でノーゴールのナイジェリア代表FWが殺害予告の事実を激白

2018年10月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

「妻は『ナイジェリアに帰りたくない』と言っていた…」と悲壮な告白

ロシアW杯で3試合無得点に終わったイガロ。その結果、ファンやメディアから批判を受けるとこになり……。 (C)REUTERS/ AFLO

 フランスの5年ぶりの戴冠で幕を閉じた今夏のロシア・ワールドカップ。多くのスターたちによって彩られた世界大会は、様々な話題を提供しながらも、開幕前に不安視されていた安全上の問題も起こらず、大成功のうちに終わった。

 そんなW杯で不振を極め、"死"の恐怖と戦うこととなったストライカーがいる。ナイジェリア代表FWのオディオン・イガロだ。

 現在29歳の点取り屋は、ロシアの舞台で"スーパー・イーグルス"のエースとして、チームを牽引する働きが期待されたものの、まさかの無得点。2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した主因として、批判の矢面に立たされた。

 そんなイガロは、現地時間10月19日、ナイジェリア・メディア『The Cable』の取材で、批判に晒されたW杯後に、「殺害予告を受けた」と衝撃の告白をしている。

「ファンが僕にゴールを決めてほしいと思っているのはわかっているよ。理解もできる」としたイガロは、続けて悲壮な言葉を吐露した。

「ファンの中には一線を越えてしまった人たちもいたんだ。僕の幼い子どもたち、そして愛する妻や家族に対して、殺害を予告するような脅迫をしてきたんだ。『彼ら』は僕や子どもについて脅迫するような言葉をぶつけてきたのさ。これはもうサッカーを超えたものだ。

 当然、気分は良くない。とても辛かった。妻とは話さなければならなかった。だって、彼女はそれを受け止められないからね。妻は、『もうナイジェリアには戻らない』と話していたよ。言われていたことが起こるかもしれないという恐怖と向き合わなくてはいけないからだ。脅迫を受けた後の数日間は、精神が崩壊しそうだったし、少なくともプレーできる状態にはなかった」

 それでもイガロは、「僕は13年のキャリアのなかで幾度も批判されてきたから慣れているし、全ては神の思し召しだ。とにかくプレーを続けるしかないと思った」と、ナイジェリア代表のピッチに舞い戻る。そして、ロシアW杯後からは、アフリカ・ネーションズカップの予選3試合で一つのハットトリックを含む6ゴールと鬱憤を晴らすかのようなゴールラッシュを披露しているのだ。

「ゴールを決めれば批判も止まる。それがこの世界の仕組みだ。それにそうした声が僕のエネルギーになる」と気丈に語ったイガロ。その精神力の強さは、言うまでもなくあっぱれである。
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