「彼は火星人」「優勝後のカオスの中で…」元ローマ主将トッティが自伝で中田英寿との面白エピソードを告白

2018年10月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

自伝本で赤裸々に綴られた中田とのエピソード

今もロマニスタの間で語り継がれる伝説的なメンバーの一員であるトッティ(左)と中田(右)。そんな二人のエピソードは興味深いものばかりだった。 (C) Getty Images

 ローマの生ける伝説が、かつてチームメイトであった日本人MFにまつわるエピソードを、独特な表現で明かしている。

 2017年5月に惜しまれつつ現役を引退したフランチェスコ・トッティは、ローマ一筋を貫き、今も熱狂的なロマニスタたちから愛され続けるレジェンドだ。そんな元イタリア代表MFは、現地9月27日に自伝本『Un Capitano(主将)』を出版し、話題を呼んでいる。

 現役時代の様々な出来事について綴られた一冊となっているのだが、トッティはそのなかで、元日本代表MFの中田英寿との思い出を振り返っている。その内容をイタリア・メディア『U24 Sport』が一部を抜粋して紹介した。

 中田は、ペルージャを経て2000年1月にローマに加入した。2000-01シーズンには、日本人初となるスクデット獲得を成し遂げていた。そんな日本人MFのローマでの一番の名場面といえば、タイトル争いをしていたユベントスとの大一番(2-2)でのゴールだろう。

 この大一番で中田は、2点のビハインドを追う65分にトッティと交代で出場すると、見事に強烈なミドルシュートを突き刺し、さらに試合終了間際にも自身のシュートのこぼれ球からヴィンチェンツォ・モンテッラが同点弾をゲット。その後、戴冠を果たしたことを思えば、この時の中田は歴史的同点劇の立役者となったと言っても過言ではなかった。
 
 その歓喜の瞬間をベンチから眺めた元ローマの主将は、試合後の中田との出来事について次のように綴っている。

「あの瞬間、俺はナカタの所へ駆け寄り、ハグとキスをした。すでに皆も駆け寄った後だったけど、彼はいつもの穏やかな笑みを浮かべていて、やや構えているようだった。俺は耳元で、『君は神だ。最高だよ、ヒデ!』と何度も叫んだ。彼もこちらを向いて、『グラッツィエ!(ありがとう!)』って大声で答えてくれた。でも、彼はスクデットに値するゴールが決まった直後、興奮した選手たちに身体を触られて少し嫌だったのではないかと思う」

 中田について、「存在感を消した宇宙人のようであり、礼儀は正しいが、淡泊で物静か。誰も侵入することのできない自分の世界も持っていた」とも評したトッティは、ローマにとって18年ぶり史上3度目のスクデットを獲得した直後、歓喜に沸くロッカールームでの中田の"奇妙"な行動を明かしてもいる。

「みんなが一緒に歌ったり、踊ったり、乾杯したりしていた。その時のナカタには、呆気にとられたけど、楽しませてもらったよ。彼はあのカオスの中で、ロッカーの隅に座って、本を読んでいたんだ。いや、本当に火星人だと思ったね」

 ローマの英雄から「火星人」と評されるなど、そのエピソードは中田氏の独特なカリスマ性が窺い知れるものばかりだった。なお、トッティの自伝本の中では、かつての指揮官であるルチアーノ・スパレッティとの確執や、世界一に輝いたドイツ・ワールドカップ決勝前夜に夜遊びをしていたことなど、24年に及んだキャリアの裏話が赤裸々に記されている。

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