【釜本邦茂】期待感に満ち溢れたスタートだ。とりわけ伊東の3点目が素晴らしかったよ

2018年09月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

中島は貪欲に仕掛けた。乾の役割を全うしていたね

わずか出場時間ながら、伊東(左端)は豪快ミドルをねじ込むなど出色の出来を披露した。(C)Getty Images

 コスタリカ戦はスタジアムで観戦させてもらった。
 
 初めて招集された、あるいはこれまでほとんど出場機会のなかった選手たちの奮闘が際立っていたように思う。実に溌溂としていたし、ゴールに向かっていこう、自分の良さを出そうというエネルギーが感じられた。期待感に満ち溢れたスタートだったね。
 
 新チームにとっては最初のゲームだ。コスタリカ戦の見所は、チームとしてどう機能するかよりも、どれだけ個々が積極性を出すか、それが確認できるかどうかに尽きたんじゃないかな。ワールドカップを戦った主力がいないなかで、絶好のアピールチャンスが巡ってきたわけだ。一生懸命やるのは当たり前として、それぞれが自分の良さや特長をどれだけ見せてくれるか。そこしか見てなかったよ、僕は。その点においては、及第点を与えられると思う。
 
 個人で言えば、中島(翔哉)と伊東(純也)の動きが良かったね。自分たちがこれからの代表を引っ張っていくんだという、積極果敢な姿勢が見えたよ。中島は持てば貪欲に仕掛けていたし、まさに乾(貴士)がワールドカップでこなしていた役割を見事に全うしていた。

 
 オウンゴールはさておき、後半の2ゴールはどちらも見事だった。南野(拓実)のシュートは反転の素早さがすべてやったね。あのタイミングで鋭く振り抜いたからこそ、相手の股を抜けんだろうと感じたよ。そして、伊東の3点目だ。素晴らしかった。やはりどんな状況でも思い切って撃ちにいく姿勢がどれだけ大事かってことを、あらためて確認させてくれたよ。結果的にディフェンダーがブラインドになって、キーパーが反応し切れなかったんだけど、あそこまで計算していたのかな。いずれにせよ、撃ち込む、撃ち抜く姿勢が素晴らしかった。代表戦ではああいうゴールをどんどん見せてもらいたいね。
 
 10月の2試合(パナマとウルグアイが相手)では、ワールドカップを戦ったメンバーが何人か戻ってくるだろう。真価が問われるのはまさにそこ。今回のコスタリカ戦はそれこそガムシャラにアピールできたけど、ベテランがいるなかで今日のような積極性が出せるかどうかだ。もしシュンとしてしまうようならそれまでだね。踏み越えていくくらいの気概でやらないと、理想的な世代交代などはできないよ。いつかは出られるんじゃないかと思っているようでは話にならない。「いまここで獲る!」という強い気持ちが大事だね。そういう意味では、10月の2試合がすごく楽しみになった。
 

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