「疲れ果て、狂ってしまった…」 元イタリア代表FWがキャリア最盛期にミュージシャンへ転身した理由を激白

2018年09月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

「誰も理解してくれなかった」決断をなぜ下したのか?

ロックミュージシャンに電撃転身を遂げた理由を、オスバルドが英紙の取材で明らかにした。 (C) Getty Images

 約2年前、「解放されたい」と言い放ってロックミュージシャンへと電撃転身を遂げた元イタリア代表FWパブロ・オスバルドは、今、サッカー界から離れた生活を謳歌しているようだ。

 その去り際は、まさに電撃的だった。

 2005年に祖国アルゼンチンのクラブ、ウラカンでプロキャリアをスタートさせたオスバルドは、その後、欧州に渡ってフィオレンティーナやローマ、サウサンプトン、ユベントス、インテルなどでプレー。端正な容姿と巨躯を活かした豪快さが魅力の大型CFとして活躍し、2011年11月にはイタリア代表にも招集された。

 そのような順調なキャリアを送っていたオスバルドが突然の引退を発表したのは、2016年1月、当時所属していたボカ・ジュニオルスの指揮官ギジェルモ・バロスケロットと喫煙を巡って衝突したことがきっかけだった。

 事実上の解雇という形でボカを退団したオスバルドは、セリエAのキエーボから2年契約のオファーを受けるも、「俺はロックミュージシャンになる。全てのことから解放されたいんだ」と言い放ち、現役生活から退いた。

 現在32歳のオスバルドは、今、スペインのロックバンド「Barrio Viejo」のメインボーカルとして、バルセロナを拠点に活動している。そんな奔放な男がこのたび、英紙『The Sun』の取材に応じ、引退してからの心境や現状を明かした。

 サッカー選手として最盛期にあった30歳での引退を決断したオスバルドには、「愚かな判断」と批判的な声も相次いだ。しかし元イタリア代表FWは、「今の生活こそ、俺の求めたパッションのあるものだった」と言い切る。

「俺は30歳でサッカー選手を辞めた。そのことを、あまり理解してくれない奴らが多い。俺に対して、『お前はクレイジーだ。世界有数のクラブでプレーし、すべてを得ていたのに、狂っている』なんて言ってくるんだ。だけど、そんなのはクソさ。誰も理解してくれないけど、これこそが俺のパッションなんだ」

 高給を得られることで、リッチな生活を送れるサッカー選手としてのメリットは多分にある。生活だけを考えれば、ロックミュージシャンとしてよりも裕福に暮らせるかもしれない。しかしオスバルドは、「自由に生きたい」と語る。

「サッカーには、多くのルールが存在する。本当に多くのルールが。そんなものに縛られるのが、俺は嫌なんだ。とにかく、自由でいたいと思っていた。自分のキャリアには誇りを持っているし、サッカーには借りもある。だけどあの世界じゃ、リアルな人生を送れない。嘘で塗り固めた人生になってしまうんだ。

 ゴールを決めれば、俺は神で、それができなきゃクソ扱い。批判する奴らがどれだけ良い子ちゃんかは知らないけど、見られるのはサッカー選手としてのパブロ・オスバルドだけで、そこに人間としての価値はなかった。それが我慢ならなかったんだ。

 俺は敏感な人間で、疲れ果て、狂ってしまった。だから、ミュージシャンとして生きることを決めたんだ」

 今は「サッカーを離れ、何のプレッシャーもなく、自由でリラックスしている」というオスバルド。ローリングストーンズのギタリスト、キース・リチャーズに憧れているという男は、自由な生活を手にし、日夜、音楽活動に精を出している。

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