日本代表入りへ邁進!高卒4年目でJ得点王を争う西村拓真の飽くなき向上心「まだまだ足りない」

2018年08月21日 小林健志

ここ8試合で5得点と量産! G大阪戦では“技あり”の一撃を放つ

チームの調子が上昇するなかで、ゴールを挙げ続けている西村。先のG大阪戦では、磨いてきたスキルが凝縮されたゴールを決めてみせた。 (C) SOCCER DIGEST

 ロシア・ワールドカップの中断明けから苦しい試合が続いたが、ここへ来てリーグ戦3連勝と波に乗る仙台。その躍進の原動力となっているのは、3戦連発中のFW西村拓真だ。

 21歳の点取り屋である西村は、昨シーズン、ルヴァンカップでニューヒーロー賞を受賞する活躍は見せたが、ゴール前でシュートの精度を欠く場面が多く、J1ではわずか2ゴールにとどまった。

 しかし、今シーズンは開幕からコンスタントにゴールを取り続け、特にロシアW杯中断明けの横浜F・マリノス戦(7月18日)からの8試合で5ゴールと量産態勢に突入。現在の得点ランキングでは川崎の小林悠と並び4位の11ゴールで、日本人トップタイの数字を叩き出している。

 19日に行なわれたJ1リーグ23節のG大阪戦では、前半こそ相手のプレッシャーに苦しんだが、後半に持ち味を発揮。西村はその背景にあった"自己修正"について試合後に明かしている。

「後半は味方が相手の空いているところをしっかり探してくれたのが良くなったところで、自分もそれに対応でき、阿部(拓馬)君と一緒にうまく背後を取れたり、二人の関係性で崩せたりできた。相手が前から勢い良く来たが、うまく外せば何の問題もないとハーフタイムにチームで話し合えて修正できた」
 そして、チームが1点を追う54分に今シーズンの11ゴール目を奪ったシーンでは、優れた判断能力が光った。

 直前に左サイドに開いた中野嘉大がボールをキープした際に、西村はゴール正面、相手DFの間に生まれた空きスペースに入り込んでいた。この時、西村に対してはG大阪の倉田秋が下がってマークに付いていた。

 そして、中野が供給したグラウンダークロスは、西村からやや左寄りにいた奥埜博亮と競ったG大阪DFファビオに当たって小さく浮いた。この時、ボールをクリアしようと倉田はジャンプをするが、西村はその場を離れなかった。当人は言う。「奥埜さんがつぶれてくれていたので、慌てて前に行かずにその場にいようと思った。うまく相手が被ってくれたので、あの場所にいられて良かった」。

 咄嗟の判断で、その場に止まったことにより倉田のマークが外れ、フリーでボールを受けた西村は「相手が来ていないことが分かった」と落ち着いて右足を振り抜き、値千金の同点弾を決めたのである。

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