「プロでは制限、18歳以下は完全に禁止すべき」 医師がヘディングの脳への影響に警鐘 

2018年08月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

選手の今、そして未来の健康を守るために。

ヘディングの危険性を真剣に考える時が来たのかもしれない。(C)Getty Images

 ヘディングはサッカーをする上で欠かせないプレーのひとつだ。だが、その一方で脳に及ぼすダメージを危惧する声も絶えない。

 脳の負傷に関する専門医のひとり、ベネット・オマル医師は、英国公共放送「BBC」のインタビューで、「繰り返し頭部に衝撃を与えることが慢性外傷性脳症を引き起こす」とし、「ハイスピードで動く物体を頭でコントロールするのは道理にかなわない」と指摘している。

「いずれは、プロレベルでのヘディングを制限することが必要だと信じている。危険なことだからだ」と語るオマル医師は、「18歳以下の子どもは一切ヘディングをすべきでない」と続けた。

「とくに12歳から14歳の子どもたちは、もっとコンタクトプレーが少ない形のサッカーをすべき。そして18歳以下の子どもたちには、ヘディングをさせるべきではない」

「多くの選手やコーチにとって、それが難しいことだというのは分かっている。だが、科学は進化しているんだ。時間とともに我々は変わっていく。社会も変わる。いくつかのやり方を変えるべき時なんだ」
 
 実際、元イングランド代表のジェフ・アストル氏は、革製の重いボールをヘディングしていたことによる脳への損傷が死因とされた。2002年に59歳で生涯を閉じたアストル氏は、10年近くに渡ってアルツハイマー病に苦しんでもいた。

 アストル氏の娘は、「これはもう事実なのよ。他の選手が父と同じ病気で死ぬかもしれないと仮定しているのではなく、事実なの」と緊急性を訴えている。

 また、かつてポーツマスなどでプレーし、今年4月に亡くなったロッド・テイラーの娘は、やはり死因がヘディングによる脳への衝撃だったとし、「選手たちを救わなければいけない」とコメント。サッカー協会や選手協会が選手を助ける必要があると主張した。

「サッカークラブ全般や、父がプレーしたクラブを非難しているのではないの。父はプレーしたすべてのクラブを誇りに思っていたわ。サッカーを変えようというんじゃない、必要なときに選手協会が責任を負うようにすべきなのよ」

 オマル医師は、「サッカーをすることは、年をとった時に脳のダメージに苦しんだり、痴ほう症や慢性外傷性脳症を患うリスクが高まるだろう」と述べている。

 スポーツによっては、脳震盪に関して厳しいガイドラインを設けるなどの対策を講じている。選手の今、そして未来の健康を守るための建設的な議論と対応が必要だ。
 
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