苛酷な連戦の最後に鹿島が得た「2つの収穫」指揮官も称賛する新助っ人とジーコ効果

2018年08月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

清水戦で新戦力の韓国代表DFが加入後初先発。その実力を示す

清水戦はドローが濃厚かに思われた91分、西のシュートが決まり、鹿島が競り勝った。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ20節]鹿島1-0清水/8月5日/カシマ
 
 終了間際の劇的決勝弾。値千金のゴールを奪った西を中心に、鹿島の歓喜の輪が広がった。
 
 週中にも試合を行なう過密な連戦は、7月18日の磐田戦から始まり、この清水戦まで19日間で6試合を戦い抜く苛酷なもの。内容は低調な出来に終わったが、チームは2つの収穫を得た。
 
 ひとつは、新戦力の韓国代表DF、チョン・スンヒョンが加入後初先発を果たし、その実力を示したこと。7月18日に鳥栖から完全移籍で加入し、G大阪戦(同28日)、FC東京戦(8月1日)はベンチで戦況を見守っていたが、町田の状態を考慮し、今節で起用。センターバックを組む犬飼との連係も流動的に行なわれ、対人の強さも証明した。ロスタイムには空中戦を制して決勝点のアシストを決め、勝利に貢献。チョン・スンヒョンは「無失点で終えることを意識していた。実際に無失点で終わることができて良かった」と納得の表情を浮かべた。
 
 現役時代、センターバックとしてプレーした大岩監督も、新しい助っ人DFに対して合格点を出す。「(チームに)落ち着きを与え、ビルドアップのところもできていた。今後、さらに(周囲が)彼のことを知ることで、パフォーマンスが上がり、組織が構築されていくだろう」と称賛を惜しまない。植田がベルギーのセルクル・ブルージュへ移籍。昌子も離脱中で不安を抱えていた最終ラインに、好材料を得ることとなった。
 
 2つ目の収穫。それはジーコ氏の影響力だ。やはり鹿島にとって唯一無二の存在。65歳の今となってもクラブに与える力は計り知れない。清水戦前には同テクニカル・ディレクター(TD)を迎えるために、選手バス到着時にいつもよりも大勢のサポーターが出迎え、スタジアムの空気を変えた。
 
 真夏のこの時期に、前述のような連戦は選手たちのパフォーマンスを低下させる。低調なプレーが目立つなかで、ジーコ氏を崇拝するレオ・シルバはこれまでの不振を振り払うかのように奮闘し、鈴木も鼻を負傷しながらも献身的に走り回った。鈴木は「やっぱりピリッとなるでしょ。身体が言うことを聞かない場面もあったけど、気持ちで戦った。ギリギリのところをマイボールにするようなプレーはできた」とジーコ効果を語った。
 
 ジーコTDの時代を知らない若い選手もいる。「このクラブがどう創設され、いろいろな人がどう関わり、多くのタイトルを取れるようになった歴史を知る必要がある。それを知った上でユニホームの名前、重み、責任が分かる」と説くジーコTD。重みのある言葉を発することで、指揮官、主将の小笠原らベテランだけでなく、鈴木ら次代の鹿島を担う若手も、改めて自分たちが在籍するクラブの伝統を感じている。
 
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