【16強、西野ジャパンの評価を問う#3】乾、香川のセレッソラインを活かせたのは日本人監督だからこそ

2018年07月13日 二宮寿朗

一歩前に進めたが、もっとやれたはずだ

かつてC大阪でともにプレーした乾(左)と香川(右)の息はピッタリだった。こうした事情を把握し“財産”を活用できる監督が理想的だ。(C) JMPA代表撮影(滝川敏之)

 西野ジャパンがロシアでの冒険を終えたタイミングで、サッカーダイジェスト誌ライター陣7名に緊急アンケートを実施。世界の「ベスト16」という結果を残した日本代表への評価、「ベスト8」の壁を超えるためには何が必要なのか、そして次期日本代表監督には日本人が相応しいか? この3点について意見を伺った。
 
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回答者:二宮寿朗(スポーツライター)
 
Q.西野ジャパンのロシアW杯評価(100点満点中)
A.90点
 
 戦前の低評価からの巻き返しは高得点に値する。パス主体のスタイルに切り替え、守備でもプレッシングとブロックの使い分けも意思統一が出来ていた。コンパクトに、バランス良く、チャレンジもカバーも。粘り強い守備とアイデアある攻撃は相乗効果で引き上がっていった感がある。西野采配も当たっていた。
 
 ポーランド戦の"負け逃げ"にはリスクもあり、賛否両論が巻き起こった。しかし筆者は支持したい。あのとき中途半端だけは避けなければならなかった。ポーランドのカウンターの餌食になりそうな気配も多分にあったためだ。だから西野朗監督は「このままでいこう」と決めたのだろう。主将の長谷部誠は「真実は結果の中にしかない」と語ったが、その通りだ。
 
 6人の先発入れ替えも、香川真司や原口元気らの疲労を回復させたことがベルギー戦の活躍につながった。決勝トーナメントでゴールを奪えなかった過去の大会より一歩前に進めた。だが選手はもっとやれたと思っているはず。その部分でマイナス10点とした。
 
 
Q.日本が8強入りするために最も必要なことは?
A.突破口探知能力
 
ベルギーは流石だった。空中戦に持ち込んでゴールを奪うと、「高さ」という日本の弱点を重点的に突いてきた。ベースとなる戦い方を磨きつつ、相手の対応をさらに上回っていく力を身につけていかなければならない。
 
 
Q.ロシア後の監督も日本人にするべきか?
A.YES
 
 西野監督は歴代代表チームの財産のほか、Jリーグの財産も使っていた。例えば乾貴士、香川のセレッソライン。財産を知っているから、引き出せる。日本人監督ないしはJリーグで日本サッカーを熟知する監督に任せてみたい。
 
※『サッカーダイジェスト』7月26日号(7月12日発売)より転載。
 
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