「夢は信じれば叶うんだ」金字塔を打ち立てたエジプト代表の“おっさんGK”に世界が驚嘆!【ロシアW杯】

2018年06月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

代表デビューから22年目でようやく立てたW杯の舞台。

PKを完璧な読みで見事にストップしたエル・ハダリ。45歳の“おっさんGK”が魅せたプレーに世界が驚いた。 (C) Getty Images

 現地時間6月25日、ロシア・ワールドカップのグループAは最終節を迎え、すでにグループ敗退が決定しているサウジアラビアとエジプトが、今大会初勝利を懸けて対戦した。

 互いに2連敗で迎えて消化試合となったこの一戦において話題となったのは、エジプトのGKエサム・エル・ハダリだ。W杯史上最年長となる45歳と161日で、出場を果たしたのである。

 これまでの最年長記録は、前回大会の日本戦でコロンビア代表GKファリド・モンドラゴンが記録した43歳3日だったが、1973年1月15日生まれのエル・ハダリは1996年の韓国戦で初キャップを刻んでから、足かけ22年、159キャップ目にして、ついにW杯のピッチに立った。

 今大会の開幕前には「私は世界で一番幸せな人間になるのかもしれない。この舞台でプレーできれば、本当に誇りだ」と語っていたエル・ハダリは、その念願を叶えた一戦で、プレーでも魅せた。41分に迎えたPKのピンチで、左に横っ飛び! 見事にストップしてみせたのだ。

 その後、2度目のPKでは失点を喫したものの、以降も相手の決定的なシュートを俊敏な反応で阻止するなど、ハイパフォーマンスを披露。試合終了間際の95分に2つ目のゴールを奪われたが、エル・ハダリの堅守がなければ、チームは崩壊していた可能性もあっただけに、その存在は際立って見えた。
 

 そんなW杯史に名を刻んだ大ベテランには、各国メディアも賛辞を贈っている。

 英公共放送『BBC』は、PKストップのシーンについて「なんてセーブだ! とても45歳とは思えない、俊敏かつ安定したストップだった」と興奮気味に描写。さらに「彼はエジプトの英雄だ。国に銅像を建てるのはどうだろうか?」と絶賛し、エル・ハダリのコメントを紹介している。

「とても幸せなことだ。これは世界中のフットボーラーへ、強いメッセージになったと思う。夢を信じて戦い続ければいいんだ。私は45歳だが、それは単なる数字に過ぎない。いくつになってもやれるんだ」

 そんな快挙を成し遂げた守護神に、地元エジプトの日刊紙『Ahram』は「かつて、あのドログバも認めた高い能力を持つベテラン守護神が、ついにW杯の歴史を塗り替えた。彼がいなければ、ファラオ(エジプト代表の愛称)はここまで来れなかった」と褒めちぎった。

 惜しくもエジプトは1-2で敗れ、3連敗で28年ぶりに臨んだW杯から姿を消すことになったが、"おっさんGK"エル・ハダリが残したインパクトは、大会前に注目を独占したアーメド・サラーに負けず劣らず、特大だった。
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