「絶対にW杯に出すべきじゃない」スウェーデン代表主将がドーピング疑惑のペルー代表FWに苦言

2018年06月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

急転直下で出場停止が覆ったゲレーロ。

ゲレーロ(右)に対する決定に苦言を呈したグランクビスト(左)。 (C) Getty Images/(C) REUTERS/AFLO

 6月3日、36年ぶりのW杯に臨むペルー代表にとって重要な決定が発表された。チームを檜舞台に導いた主砲パオロ・ゲレーロに対する14か月の出場停止処分が一時的に止められる措置が下されたのだった。

 ゲレーロのW杯出場を巡る騒動はまさにドタバタ劇だった。

 昨年10月の南米予選アルゼンチン戦後のドーピング検査において、禁止薬物のコカインが検出され、12月にFIFAから1年間の出場停止処分を受けたものの、後にゲレーロ側の異議申し立てにより6か月に短縮となった。

 しかし、決定に不満を募らせたゲレーロは、スイス連邦裁判所へ処分の締結を直訴。同裁判所は、「WADAの異議は明確性に欠けるもので、世界大会の重要性も考慮されるべきだ」として、処分の一時停止が発表された。

 晴れてW杯出場が決定したゲレーロは、処分が締結されてから初の代表戦となった現地6月4日のサウジアラビア戦ではいきなり2ゴールを叩き出して、夢の舞台へ準備万端といった状態にある。

 しかし、そんな34歳のベテランFWの出場に苦言を投げかける選手もいる。8日、地元メディア『fotbollskanalen』の取材に応じたスウェーデン代表のキャプテン、アンドレス・グランクビストは「コカインはドーピングだ。普通なら2年間の出場停止処分が妥当」と訴えている。
 

 2017年のスウェーデンの年間最優秀選手賞にも輝いた実績を持ち、酸いも甘いも嚙み分けてきた33歳のDFは、「僕は彼がなぜ戻ってきたのかが分からない」として、最終登録メンバーの締切前日に急転直下で決まった判定に疑惑の目を向けた。

「彼には陽性反応が出たんだろう? それに禁止とされている薬物を持っていた。どういう経緯かは知らないけど、全てが事実だとしたら彼がいまだにプレーできていることには少し悲しさすら覚えるね」

 そして、『fotbollskanalen』の記者に「パオロはW杯からいなくなるべきか?」と問われたグランクビストは持論を力説した。

「そうだね。もし、彼がドーピングに手を出していたならそう思う。絶対にW杯に出すべきじゃない。これはパオロだけじゃなく違法な薬物に手を出した全てのアスリートに言いたいね。彼らは競争してはいけないんだ」

 ゲレーロに対する決定に異論を唱えたグランクビスト。その声はペルー代表FWのW杯出場を好意的に捉える声が多い中で、貴重なものと言えるだろう。
 
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