スペインが最後のテストマッチに勝利! 自慢の選手層を駆使してチュニジアの堅守をこじ開ける

2018年06月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

ポルトガルとの初戦に向けて順調な仕上がり。

後半、チアゴに代わってこのコケが中盤の底に投入されると、それまで上手さばかりが際立っていたスペインの攻撃は、ぐっと危険度を増した。(C)Getty Images

 スペイン代表は現地時間6月9日、ロシア南部の都市クラスノダールでチュニジアとのフレンドリーマッチを実施し、1-0の勝利を収めた。

 これが本番前最後の強化試合となるスペインは、GKに正守護神のダビド・デ・ヘアを起用。右SBはチャンピオンズ・リーグ決勝で負傷したレアル・マドリーのダニエル・カルバハルに代わってアルバロ・オドリオソラが抜擢され、CBはお馴染みのジェラール・ピケとセルヒオ・ラモスのコンビ。左SBにはジョルディ・アルバが入った。

 4-2-3-1システムの中盤は、チアゴ・アルカンタラとセルヒオ・ブスケッツの2ボランチの前に、ダビド・シルバ、イスコ、アンドレス・イニエスタが並ぶ形で、1トップにはバレンシアのエース、ロドリゴが起用された。

 試合は序盤から長短のパスがチュニジア陣内を高速で走り続ける、スペインらしい展開となった。その様子を一言で形容するなら、ハーフコートを使ったロンドといったところか。

 シルバ、イスコ、イニエスタが盛んにポジションを入れ替え、チアゴとブスケッツから供給されるボールを丁寧につないでいく。正確なボール支配率は分からなかったが、おそらく70パーセント後半から80パーセントは稼げていただろう。

 ただ、彼らの攻撃をロンドに例えた理由はもうひとつあった。その高度なパスの応酬がゴールに結びつくシーンがほとんどなかったのだ。相手が守備に多くの人数を割いてきたこともあるが、決定機の数で言えば、ときおりシンプルなカウンターを繰り出したチュニジアのほうが多かった。
 
 スコアレスドローのまま前半を終えたスペインのジュレン・ロペテギ監督は、後半の頭からチアゴに代えてコケを投入し、イスコをベンチに下げてシルバをトップ下に移動。空いた右サイドには、機動力に優れたルーカス・バスケスを送り込んだ。そして右SBは、攻撃力が売りのオドリオソラから、攻守のバランスに優れたナチョへと変更された。

 これらの交代によって、「高度すぎるパスゲーム」を演じていたチームにゴールをめざす意識が生まれ、後半の立ち上がりには、シルバが立て続けにチャンスをつかんだ。そして60分を過ぎたところでロペテギ監督が、ロドリゴに代えてジエゴ・コスタを最前線に投入し、シルバとマルコ・アセンシオを入れ替えると、縦方向への推進力にさらに拍車がかかった。

 6人まで交代が認められていたこの試合、ロペテギ監督が最後に切ったカードはFWのイアゴ・アスパスだった。指揮官は左SBのジョルディ・アルバをベンチに下げ、システムを3-4-3に変更。最終ラインは右からS・ラモス、ピケ、ナチョが並び、前線はL・バスケス、D・コスタ、アスパスの配置に変わった。

 スペインに待望の先制点が生まれたのは、その約10分後だった。ロングボールに飛び出したD・コスタが前線で粘ってボールをキープし、十分に敵を引き付けてバックパス。これを後方から走り込んできたアスパスが、得意の左足で豪快に叩き込んだ。

 チュニジアの高い集中力と粘り強いディフェンスに苦しみつつも、状況に応じて的確な采配を見せたロペテギ監督。その采配も見事ながら、指揮官の考えを完璧にピッチの上で具現化してみせた選手たちもまた見事だった。

 本番前の最後のテストマッチで、その圧倒的な選手層に加え、上手さ、狡猾さ、勝負強さを存分に見せつけたスペインは6月15日、クリスチアーノ・ロナウド擁するポルトガルとの初戦に臨む。
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