「危険とされている技だ」サラーを泣かせたS・ラモスの接触プレーを欧州柔道連盟が批判

2018年05月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

「サッカーは格闘技じゃない」と批判が集中。

接触プレーによる怪我は日常茶飯事のサッカー界だが、今回の一件は危険な面が多分にあったため、S・ラモスには批判が集中した。 (C) Getty Images

 レアル・マドリーが前人未到のチャンピオンズ・リーグ(CL)3連覇を達成したリバプールとの決勝。その試合中に起きたワンプレーが思わぬ広がりを見せている。

 5月26日、ウクライナのキエフで開催されたリバプールとの頂上決戦で、レアル・マドリーは3-1と快勝。見事に偉業を成し遂げた。ただ、決して楽な試合展開ではなかった。とりわけ序盤は相手の得意とするゲーゲンプレッシングに苦戦し、自陣に押し込まれてもいた。

 しかし、ひとつの接触プレーが流れを変えた。セルヒオ・ラモスがリバプールのエース、モハメド・サラーとぶつかった際に腕を巻き込むようにして倒れ込んだため、このエジプト代表FWは左肩を負傷。治療を終えて一度はピッチに戻ったものの、31分という早い時間に涙の交代を余儀なくされたのだ。

 故意ではなかったが、結果としてこれがリバプール攻撃陣の力を半減させたことは言うまでもなく、マドリーが相手の反撃を1点に留めた主因ともなった。

 試合後、S・ラモスは自身のツイッターでサラーに対し、「早期回復を祈っているよ。君には未来が待っている」とメッセージを綴るも、そのプレーが危険なものであったことから、「サッカーは格闘技じゃない」といった批判的な声も集中。ついには格闘技界にも問題は波及した。
 

 CL決勝から一夜明けた27日、欧州柔道連盟がツイッターでS・ラモスとサラーの接触プレーについての見解を発表。その内容は対人競技の専門家らしい鋭いものだった。

「脇固めはとても危険な技である。だから柔道ではこの形から寝技に持ち込むことは許されていない。あなたはマドリーとリバプールのCL決勝で起きたこのプレーをどう思うのか? アームロックの技術は柔道で禁止されている。しかし、フットボールの世界ではCLで優勝するために有効な技なようだ」

 実際、柔道において立った状態で腕をとり、脇固めを仕掛ける行為は、「怪我を誘発する」として禁止されている。今回の一連のプレーは立った状態からS・ラモスがサラーの腕を取ったため、それに「該当する」というのが欧州柔道連盟の見解、といったところだろう。

 なお、この怪我によってワールドカップの出場も危ぶまれたサラーだったが、リバプールの医療スタッフによれば、靱帯を損傷しているだけで3週間以内の復帰が濃厚とされている。エジプト代表FWはSNSで、「僕はファイターだ。可能性はどうであれ、みんなが誇れるようにロシアでプレーすると確信している」と気丈なコメントも発信している。
 

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