【番記者通信】ミラクルの再現を密かに|リバプール

2014年02月25日 ジェームズ・ピアース

2年目の指揮官ロジャースの下、着実に成長

年が明けてからプレミアでは6勝2分けと無敗。26節を終え66得点は、リーグ2位だ。 (C) Getty Images

 2月16日のFAカップ5回戦でアーセナルに敗れ、リバプールはまたひとつタイトルを逃した。それでも、エミレーツ・スタジアムを後にするサポーターに落胆の色はなかった。それどころか、ポジティブだった。

 たしかに、ルイス・スアレスがエリア内で倒されてもPKの笛を吹かなかったハワード・ウェブ主審の判定に、レッズファンは怒りの声を上げた。それでも、気迫のこもった戦いぶりに、彼らは満足したのだ。最初から最後まで優勢に試合を進め、ダニエル・スターリッジには3度、決定的なチャンスが訪れた。同じ敵地でほぼ成す術がなかった11月のプレミアリーグ10節(0-2)と比べれば、チーム状態は雲泥の差だ。

 2年目の指揮官ブレンダン・ロジャースの下、リバプールは着実に成長している。26節終了現在、首位チェルシーと勝点4差の4位。中盤戦を過ぎても優勝争いに加わっているのは、2位になった08‐09シーズン以来だ。スアレスとスターリッジの2トップを中心に攻撃陣は猛威を振るい、ここまで66得点を量産している。これはマンチェスター・シティの68得点に次ぐリーグ2位だ。

 年が明けてからプレミアでは6勝2分けと無敗で、マージーサイド・ダービーでエバートンを粉砕した4-0の大勝や、アーセナルを一蹴した5-1の圧勝が、その6勝には含まれる。

 リバプールが最後にリーグ優勝したのは89-90シーズン。いまから24年前の出来事だ。通算19回目の戴冠は、それこそクラブの悲願である。慎重な姿勢を崩さないロジャース監督だが、虎視眈々と悲願成就を狙っているだろう。

 レッズファンは知っている。不可能はない、ミラクルは起こりうるというその事実を。ほぼノーマークのままチャンピオンズ・リーグの頂点を極めた05年のリバプールは、まさに奇跡的だった。今シーズンのプレミアリーグでその再現を、彼らは密かに期待している。

【番記者】
James PEARCE|Liverpool Echo
ジェームズ・ピアース
地元紙『リバプール・エコー』の看板記者。2000年代半ばからリバプールを担当し、クラブの裏の裏まで知り尽くす。辛辣ながらフェアな論評で、歴代の監督と信頼関係を築いた。

【翻訳】
松澤浩三
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