【鳥栖】またも後半に崩れて5連敗。苦戦が続く要因をフィッカデンティ監督の言葉から探る

2018年04月27日 梶山大輔(サッカーダイジェスト)

「1か月以上に渡って、前線の選手がほとんどいない状態」

川崎のパスワークを警戒し、中盤を厚くした4-3-2-1で対抗したフィッカデンティ監督。劣勢の後半は2トップに切り替えたが、結果には繋がらず。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ10節]鳥栖0-2川崎/4月25日/ベアスタ
 
 ホームに川崎を迎えた鳥栖が、昨季王者の底力に屈した。守備が機能した前半は互角以上の戦いを見せたが、ベンチスタートだった小林と大島が登場した後半に2失点。前々節の磐田戦、前節の広島戦に続いて3試合連続で後半に崩れてしまい、5連敗を喫した。
 
 しかし、川崎の攻撃を完全に抑えた前半のパフォーマンスはパーフェクトだった。コンパクトなブロックを形成し、敵のパスワークを連動して封じた守備は可能性を感じさせた。
 
 試合を総括したフィッカデンティ監督も、前半の戦いぶりに一定の評価を下している。
 
「特に前半は悪くないゲームをしたと思う。スコアは0-0だったが、鳥栖の方がよかった。失点するまでは、こちらが準備したプレッシングができ、(川崎にとって)やりにくい試合だったと思う」
 
 それはピッチ上の選手たちも同じように感じていたようで、キャプテンの吉田豊が「自分たちが準備してきたことができた。前半は手応えというか、やりたいことが上手くハマっていた」と語れば、副キャプテンの高橋義希も「(後半に)失点したとはいえ、手応えを感じた」とコメント。こと前半だけに限って言えば、ポジティブな内容だったのだ。
 
 では、なぜ勝利から見放されているのか。大きな要因は決定力不足にある。ここ5試合で奪った得点は「2」。3試合連続でノーゴールと深刻だ。
 
 シュートがポストやバーに嫌われており、頼みの綱であるセットプレーもここ数試合は呼吸が合っていない。しかし、怪我人が相次ぐ前線が駒不足に陥っているのは看過できない部分だろう。
 
「1か月以上に渡って、前線の選手がほとんどいない状態。チョ・ドンゴンは前節の広島戦から練習できておらず、20~30分プレーできればという感じだった。V・イバルボはトレーニングを再開しており、そんなに時間はかからないと思うが、池田は骨がどうなるかという部分を見極めて、ドクターからのOKが出れば戻れるだろう」
 
 現状を説明するフィッカデンディ監督の表情も流石に冴えない。
 
 ただ指揮官は、光が見えない状況の中でも下を向かずに戦うイレブンの姿勢を次のように称えている。
 
「チーム事情的にも少し苦しいところもあるが、選手たちは言い訳ではなく、グラウンドでできることを毎試合やってくれている。連敗の中で諦めて、試合内容がだらしなくならないように選手たちは頑張っている」
 
 次節のG大阪戦では、とにもかくにもゴールを奪えるかがポイントとなる。V・イバルボの復帰が不透明である以上、3列目の選手の攻め上がりを有効活用した攻めなど、チーム全体で前線の駒不足をカバーする必要がある。
 
「こうやって負けが込んでいると、サポーターの方々も失望感に包まれていると思うが、我々は一緒に悲しんでいる場合ではない。良いゲームができているし、本当にどん底という状態ではない。次の試合に向けて、しっかりと集中して準備したい」
 
 悔しさを押し殺しつつ、次戦への意気込みを語った指揮官は、6試合ぶりの勝利へ導けるか。川崎戦でもタイムアップまで暖かい声援を送り続けたサポーターをいち早く安心させたいところだ。
 
取材・文●梶山大輔(サッカーダイジェスト編集部)
 
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