ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|ブラジル編

2014年06月11日 シウビオ・バルセッチ

負傷者ゼロで大会に臨めるのは大きなアドバンテージ。

攻撃面での最大の強みが、このネイマールの突破力。ボールを持てば何かを起こす予感に満ちている。 (C) Getty Images

 いよいよ開幕が迫ったブラジル・ワールドカップ。覇権を争う、いわゆる列強国は、どのような状態で大会を迎えようとしているのか。8つのポイントから現状を診断した。
 
 各方面で優勝候補の最右翼と目されているホスト国のブラジル。攻守ともに絢爛豪華なスターが揃うカナリア軍団は、3大会ぶりの優勝を掴めるのだろうか。現地記者がセレソンの現状をポイントチェックする。
 
【ブラジル】
前回大会:ベスト8
今大会初戦:6月12日 クロアチア戦(グループA)

Q1 23人の人選は?
 
満足

 
 これまでのワールドカップでは、メンバーの選考に関して、様々な論争が起こったが、今回のルイス・フェリペ・スコラーリ監督の人選には納得がいく。攻守にバランスのとれた良いチームを作ろうとしているのが見える。期待できる顔ぶれだ。
 
 
Q2 チームの仕上がり具合は?
 
まずまず

 
 国内組はシーズン真っ最中の選手もいれば、国外組にはシーズンを終えて疲労が溜まっている選手もいる。とりわけ、オスカールの疲労ぶりは顕著だ。逆に、シーズンが終わってもまだ十分に動けるタフな選手もおり、コンディションは選手によってばらつきがあるのは否めない。ただし、優勝した昨年のコンフェデレーションズ・カップの時からほぼ同じメンバーで熟成を深めてきたので、戦術、組織的には完成度が高い。
 
Q3 キャンプインからここまでチームの雰囲気は?
 
最高

 
 チームの雰囲気を語るうえで、ブラジルでは選手とメディアの関係が重要視されるが、06年ドイツ大会の時のようなお祭り騒ぎはないし、厳格なドゥンガの管理によって選手とメディアの間に大きな溝が生まれた前回大会のような事態もなく、今回両者の関係はとても良好だ。
 
 またスコラーリ監督のチーム統率力も非常に高く、優勝した02年から監督自身、人間的にさらに成長して人をまとめる力もアップした。
 
Q4 最大の楽観材料は?
 
守備

 
 チアゴ・シウバとダビド・ルイスという世界屈指のDFをふたりも備えているのは心強い。GKのジュリオ・セーザルにも安定感がある。攻撃面ではネイマールという類稀な才能のクラッキ(名手)がいることも大きい。彼ひとりで状況を変えられるほどの力を持っている。
 
 そしてなにより、負傷者がいないこと。怪我で主力を欠くことになったチームもあるなかで、ブラジルは構想通りの選手を起用できる。
 
Q5 最大の懸念は?
 
ネイマール依存症

 
 強みの裏返しと言えるのが、ネイマール依存症。その存在が大きな武器であるだけに、攻撃では彼にやや頼りがちな面がある。ネイマールが怪我をしたら、攻撃の破壊力は一気に落ちる可能性もある。
 
 あとはオスカールのフィジカルコンディション。明らかにヨーロッパの長いシーズンを戦って疲弊している。スコラーリはコンフェデレーションズ・カップの優勝メンバーをあくまで重用するが、初戦のクロアチア戦の出来によってはオスカールに代わってウィリアンが登場する可能性がある。

次ページ一流選手の条件をハイレベルに備えるチェルシーのウインガー。

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