「勝てるチャンスはあった」 スペイン代表監督、ドイツ戦のドローという結果に悔しさを滲ませる

2018年03月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

予想以上に大きかったブスケッツの不在。

同じバルサ・カンテラ出身のMFとはいえ、より攻撃的なチアゴ(右)に、世界屈指のアンカー、ブスケッツの代役は荷が重かったようだ。(C)Getty Images

 現地時間3月23日にドイツのデュッセルドルフで開催された国際親善試合、ドイツ対スペインの一戦は、1-1のドローに終わった。

 ハイレベルなプレーの応酬となった強国同士の好ゲーム、先にゴールを奪ったのはスペインだった。アトレティコ・マドリーへの復帰で調子を上げつつあるジエゴ・コスタを差し置いて、CFでスタメン起用されたロドリゴが、いきなり指揮官の抜擢に応えた。

 6分、オフサイドぎりぎりのタイミングでアンドレス・イニエスタのスルーパスに抜け出すと、そのまま左足でマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンが守るドイツ・ゴールに流し込んだのだ。

 スペイン代表のジュレン・ロペテギ監督がアウェーのドイツ戦に用意したのは、2列目にイニエスタとコケを並べ、前線の両サイドにダビド・シルバとイスコを配する4-3-3システム。3月14日のチェルシー戦(チャンピオンズ・リーグ)で全治3週間の怪我(右足第五趾骨骨折)を負ったセルヒオ・ブスケッツの代役には、チアゴ・アルカンタラを起用した。

 一方のドイツは、トーマス・ミュラー、メスト・エジル、ユリアン・ドラクスラーを1トップ下に並べる4-2-3-1。CFにはRBライプツィヒのティモ・ヴェルナーが起用され、ボランチの位置にはトニ・クロースとサミ・ケディラが並んだ。

 そのドイツに同点ゴールが生まれたのは35分、ゴール正面でケディラの横パスを受けたミュラーが放った無回転のミドルシュートは、スペイン・ゴールの左上スミに勢いよく突き刺さった。

 
 結果から言えば、スコアはそのまま動かず1-1のままタイムアップを迎えたが、「失点してから僕たちは流れを見出した」と、ドイツの守護神テア・シュテーゲンが振り返ったように、スペインがやや押し気味に進めた前半とは打って変わり、後半はドイツ優勢の展開となった。

「勝てるチャンスは十分にあった。こういう試合に勝たないと……」と、ロペテギ監督が悔しがったゲームは、なぜ途中からドイツに流れが傾いてしまったのか。原因は中盤にあった。ドイツMF陣による"チアゴ潰し"が見事に機能していたのだ。

 この日、アンカーの位置に入ったバルサ・カンテラ出身の背番号10は、やはりブスケッツのようには振る舞えなかった。パスを出すタイミングがワンテンポ遅く、そのパスの質も、正確性がなにより重視される組み立てのためのそれではなく、ギャンブル性の強い縦方向へのものが多かった。

 それでも、イニエスタの手厚いサポートを受けられた前半はまだ良かったが、このベテランMFがサウール・ニゲスとの交代でピッチを退いた後半は、敵の素早いプレスの餌食となり、カウンターを食らう場面が少なくなかったのだ。

「(1-1は)内容に見合った結果じゃないかな。いい試合だったし、僕たちにとって有意義なテストになったよ」

 試合後、クロースはそうコメントしていたが、攻守両面である程度狙い通りのゲーム運びを見せることができた現世界王者のドイツに対し、スペインはブスケッツの重要性がさらに浮き彫りとなる結果に。27日のアルゼンチン戦では、バレンシアの中盤で好調をアピールするダニエル・パレホをこのポジションで試すなど、異なるオプションのテストにチャレンジしてほしいものだ。
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