G大阪期待の17歳ルーキー、FW中村敬斗にズバリ訊く「川崎戦での自己評価は?」

2018年03月11日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「ドリブルがある程度通用するのは、名古屋戦や鹿島戦でも分かりました」

川崎戦でプロ初先発を飾ったルーキーの中村(38番)。この日はボールに触る機会が限られ、チャンスに絡めなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ3節]川崎2-0G大阪/3月10日/等々力

 三菱養和ユースからG大阪へプロ入りし、名古屋との開幕戦でいきなりJデビューを飾った17歳のFW中村敬斗が、川崎戦でプロ初先発を飾った。

 公式戦ここ3試合とも途中出場してきた中村の真骨頂はなんといってもその強気なプレーだ。味方から積極的にパスを呼び込むと、得意のドリブル、あるいは、味方とのワンツーパスを駆使しながら打開を図る。とても17歳とは思えない野心に溢れたプレーを売りに、1節の名古屋戦で同点ゴールの起点となり、前節の鹿島戦では左ポスト直撃のシュートを見舞ったのは記憶に新しい。

 確かなインパクトを残してきたここまでの出来が評価され、川崎戦で右サイドハーフとしてスタメンに名を連ねた俊英は、この試合でも強気に仕掛けるつもりではいた。しかし、王者・川崎との一戦は勝手が違ったようだ。

「ここまで戦ってきた中で一番うまくて、総合的にも強かったかなと。ボール取らせてもらえなかったので、難しかった。一番難しい試合になりましたね」

「前半、わりとボールに絡めましたけど、後半に入ってから、なかなかボールに絡めなくなって交代してしまったのは残念でした。終わってしまったことなので切り替えたい」

 川崎に終始主導権を握られたこの試合では、良い形でボールに関与する場面が限られた。対面した川崎の登里享平が積極的に攻め上がってくるその動きに釣られ、自陣での守備にエネルギーを割かざるを得なかったのも苦戦を強いられた要因のひとつだろう。

「登里選手に出てこられて、僕がそれにどうしても釣られてしまった。そこから攻撃に転じても、攻撃にギリギリ関わる形になってしまったりして、僕の武器がなかなか出せなかった。もっと高い位置でパスをもらいたかったな、というのはあります」
 こう反省を述べた中村に訪れた最大の見せ場は71分、米倉恒貴からの右クロスをアデミウソンが落とし、そのボールをペナルティエリア内で拾ったシーンだ。ゴールまで数メートル。その前に車屋紳太郎が立ちはだかるなかで、どのようなプレーを選択するのか――。

「シュートを打とうか迷ったんですけど、当たったら嫌だなと思って切り返しました。でも、その時に足を滑らしてしまって、次のプレーに身体が付いてこなかった。今思えば振り抜いておくべきだったかなとは思います。CKになるかもしれなかったし。個人的には悔しいです」

 結果的に川崎戦では輝けなかったが、ここまでのパフォーマンスに対する客観的な評価は悪くはない。気になるのは、本人がどの程度手応えを感じているのかで、その問いをぶつけてみるとこう答が返ってきた。

「これまで4試合出ましたけど、1試合目、2試合目ですごく良い形で終われて、(ルヴァンカップの)広島戦でもアグレッシブにできていた。ドリブルもある程度通用するなというのは、名古屋戦や鹿島戦でも分かりました」

 一方で、「今日の試合のように、守備で手一杯になると難しい。個で打開したいっていうのももちろんあるんですけど、相手のバックラインがしっかり揃っていて、なおかつ、ミッドフィルダーからプレッシャーを受けながらドリブルで運んでいくっていうのは難しかったです」と語るなど、課題も少なくないようだ。

 とはいえ、総じて見ればアピールに成功しているのは間違いなく、底知れぬポテンシャルを感じさせるそのプレーに期待は膨らむ一方だ。高校生ストライカーの挑戦はまだ始まったばかり。この先どれほどの選手に成長していくのか、興味は尽きない。

取材・文●橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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