エイバルが敵地で価値あるドロー。フル出場の乾は得意のドリブルで終盤の猛攻を演出

2018年01月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

カットインを封じられ左サイドで孤立する時間帯も。

年末に見せた大活躍により、乾に対する各クラブの警戒は明らかに高まっている。この壁をなんとか乗り越えてほしいものだ。(C)Getty Images

 リーガ・エスパニョーラ21節、アスレティック・ビルバオとエイバルによるバスク勢同士の対戦は、1-1のドローに終わった。

 敵地サン・マメス・バリアに乗り込んだエイバルは、この冬に加入したふたりの新戦力、ファビアン・オレジャーナとパパクリ・ディオプをそれぞれトップ下とボランチに置く4-2-3-1システムを採用。乾貴士は左MFで先発出場を果たした。

 FWのシャルレス、MFのダニ・ガルシアとジョアン・ジョルダンに加え、来シーズンからこの日の対戦相手であるビルバオへの移籍が決まっている右サイドバックのアンデル・カパといった主力クラスがベンチスタートとなり、選手の顔ぶれ、システムの両方にマイナーチェンジを施したエイバルは、サッカーそのものも変化する。

 攻撃面では、トップ下のオレジャーナを起点にボールをつなぐ意識が高まったのが最大の変化で、時間帯によっては、乾が中央に入り、オレジャーナとポジションを入れ替える場面も見られた。

 ただ、お世辞にも完成度が高いとは言えないこの急造のシステムは、前半途中から守備の部分で綻びを見せ始める。カパに代わって右サイドバックで起用されたMFルベン・ペーニャが狙われ、対峙するマルケル・スサエタに立て続けに決定機を創られたのだ。

 そして50分、先制ゴールはビルバオに生まれる。右のイニャキ・ウィリアムスからのクロスを、逆サイドで待ち構えていたアリツ・アドゥリスがヘッドで叩き込む。前述のペーニャはマークのずれを修正できず、もっとも危険な男を完全にフリーにしてしまった。

 ホセ・ルイス・メンディリバル監督は61分、右MFのイバン・アレホに代えて前線にシャルレスを投入。システムを従来の4-4-2に戻した。これによって落ち着きを取り戻したエイバルに対し、ビルバオの最終ラインは混乱する。その隙を突いて奪ったのが72分のキケ・ガルシアの同点ゴールだった。

 乾は得意のカットインが敵に警戒され、左サイドで孤立する場面が多かったものの、縦方向への鋭く力強い突破で、終盤に数分間続いたエイバルの猛攻の起点となるなど、何度か見せ場も作った。欲を言えばこの時間帯にゴール、もしくはアシストを記録したいところだったが……。

 90分を通じて攻守に貢献し、動きそのものは悪くなかった乾だが、どこか物足りなさが残るのは、周囲の要求が高まっている証か。今年に入ってから、各チームの乾の動きに対する研究が一気に進んでいる印象だけに、この壁を打ち破り、もうワンランク上のレベルへステップアップを遂げてほしいものだ。
 
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