山形が今季初の対外試合で5-0!個性豊かなウィングの定位置争いが注目ポイントに

2018年01月24日 嶋守生

個の打開力やあと一歩崩しきる力に乏しかった昨年から考えれば…。

新加入のA・ロドリゲス(8番)もキレの良い動きを見せた。©MONTEDIO YAMAGATA

 モンテディオ山形は23日に今季初の対外試合を行ない、浜松開誠館高に5-0で勝利した。フィジカルコンディションも上げている段階で、「まだまだ練習の一環」(木山隆之監督)と、ほとんどの選手が45分間ほどのプレー時間に止まったが、チームの試運転としては上々の内容だった。
 
 今年のベースとなるシステムは、昨年の終盤戦で手応えを掴んだ4-3-3。攻撃のスタイルは昨年から木山体制で培ったビルドアップからの攻撃を継続しているが、最大の課題は昨年45得点でリーグでも下から5番目だった得点力の向上。木山監督はまず決定機の倍増を目指し、御前崎キャンプではハーフラインからフィニッシュまでの攻撃に重点を置いている。
 
 特に意識しているのは、ウィングを起点にした時にインサイドハーフやフォワード、サイドバックが絡みながら複数で崩すコンビネーションの構築だ。個人での突破だけでなくグループでの突破も選択肢に入れ、よりチャンスを増やしたいのが木山監督の考えだ。
 
「ウィングを整備しないと成り立たない」(木山監督)と、その人選にも大きなウェイトを置いている。昨年までは個で打開できる選手が少なく選択肢が限られたが、今年は適応できそうな選手が増えているからだ。
 
 左は中央に入って仕掛けられる汰木康也が前半に中村駿や松本怜大と絡んで3人目の動きを交えて綺麗に崩し、後半にキープ力を発揮した小林成豪も、起点になるだけでなく自らゴールも決めて1ゴール・1アシストと好調ぶりを見せた。
 
 前後半ともに左や中央で攻撃を作ることが多かったので、右はシンプルな突破が中心となったが、アップダウンできる瀬沼優司は運動量でアピールし、メインのポジションはウィングだと話した新外国人アルヴァロ・ロドリゲスは、インサイドハーフながら先制ゴールで結果を出した。
 
 後半だけで3アシストした北川柊斗も豪快なドリブルで相手を置き去りにして推進力を発揮しており、「気持ちが前面に出ていていい」と木山監督が評価した。両ウィングは昨年と比べて激戦区になっているが、今のところ右も左も横一線だろう。
 
 ウィングに多様なタイプの選手が揃った現状を、木山監督は「戦術的な引き出しをもっと増やして欲しいけど、個人の特徴があるし、いろんなタイプがいていいと思う」と歓迎する。今後はインサイドハーフやサイドバックとの相性も考慮しながら、個性豊かな面々からベストメンバーを選考することになる。個の打開力やあと一歩崩しきる力に乏しかった昨年から考えれば、嬉しい悩みなのではないだろうか。

取材・文●嶋守生(フリーライター)
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