キエッリーニがカルチョの変化を嘆く…「ペップ主義の到来でイタリアは守備の芸術を失った」

2017年12月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

若手との価値観の違いを吐露。

闘将としてユーベの堅守を牽引するキエッリーニ。彼は古き良きイタリアを知る数少ないタレントだ。 (C) Getty Images

 イタリアの絶対王者ユベントスは、前人未到の6連覇を成し遂げ、今シーズンも7連覇を目標としている。さらにビッグイヤー獲得という大きな野望もあるなかで、彼らは国内タイトルへのモチベーションを失うことはないのだろうか。
 
 鉄壁のユーベ守備陣の一角として君臨するイタリア代表DFのジョルジョ・キエッリーニは、「その心配がまったくない」と話している。イタリア紙『Gazzetta dello Sport』によると、キエッリーニは現地誌『Undici』で、「勝利はすべて美しいものなんだ。退屈するなんてことはない」と明かした。
 
「勝利はドラッグみたいなものなのさ。一度その感触を味わったら、またそれを味わうために全力を尽くすものなんだ。今シーズンもリーグ戦は刺激的だよ」
 
 こういった気持ちの強さだけでなく、キエッリーニはハードタックルも"武器"としている。だが、33歳のベテランDFは、「相手からしたら嫌なタイプだろうけど、僕はいつだって正しく振る舞ってきた。今では以前よりも本能的ではなくなり、思慮深くなったんだ」と、ダーティーなプレーをしていることを訴えた。
 
 時代は変わり、以前に比べ、今はキエッリーニのようなハードに相手をマークすることよりも、ビルドアップへの参加を重視するDFや指揮官が増えている。ベテランCBは、「"グアルディオラ主義"の到来で、イタリアは自分たちを主要大会で長年勝ち上がらせてくれたものを変えてしまった」と、現在マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督の影響でセリエAが変わったと述べている。
 
「守備の芸術だよ。それが原因でDFの間には大きな世代間格差がある。今やセリエAに来る若手はパスができ、40メートルのフィードができても、マークの仕方や1対1のやり方をまったく分かっていない」
 
 イタリアは11月にロシア・ワールドカップ欧州予選のプレーオフで、スウェーデンに敗れ、60年ぶりに本大会出場を逃すという屈辱を味わった。そうしたなかでキエッリーニの言葉は、かつて「カテナッチョ」を武器とした国のサッカー関係者にどう響いただろうか――。
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