トッティ、タイムマシンで行きたいのは、過去?未来?

2017年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

「1年だけでもいいから全盛期の頃に…」

引退後もサッカーに関われていることに満足しているトッティだが、やはりピッチが恋しいようだ。(C)Getty Images

 2017年5月28日、ローマの本拠地オリンピコで行なわれたフランチェスコ・トッティのラストゲームと試合後のセレモニーは、世界のサッカーファンの胸を熱くさせた。

 トッティ本人も、自身のサッカー人生の最後がこれほど感動的だとは思っていなかったという。イタリア紙『Corriere della Sera』のインタビューで、「ファンに対する自分の想い、自分に対するファンの想いに感動してしまった」と振り返っている。

「あの時は"トッティ"でも"ローマのキャプテン"でもなく、俺はみんなの兄弟だった。何よりも大事なのはローマ。俺はつねに自分よりローマを優先してきたから、あの試合は俺にとって、それほど重要ではなかった」

 一時は日本行きの可能性も取り沙汰されたトッティ。最終的には現役引退を決意し、ローマの幹部になる道を選んだ。ラストゲームから半年が過ぎたいま、トッティは「生活、意識、肉体のすべてが変わった」という。

「朝早くに起きて朝食を済ませ、トレーニングに向かう。以前は機械みたいにずっと同じことをしていた。いまは一日のスケジュールを自分で計画しなければいけない。切り替えるのは簡単じゃなかったよ。だから、クラブに少し充電期間を求めたんだ。子供たちとの時間も、自由な気持ちで楽しみたかったからね。その時間を与えてもらったことを、いまはすごく感謝している。おかげで新たな道を正しく始められた。俺はサッカー界に残った。自分にとってサッカーは人生。すべてなんだ」

 そう語るトッティは、「自分の居場所は永遠にサッカー界にある」と、今後もサッカーに関わり続けることを断言している。

「幸いにもチームと一緒にいることができる。監督やフロントともね。彼らと一緒に試合を戦っているんだ。チームバスにも乗るし、宿泊だってする」

 ただそんなトッティも、ピッチでボールを蹴っていた頃の自分の姿を思い浮かべては、ノスタルジーを感じることがあるようだ。タイムマシンがあったら未来と過去のどちらに行くか問われると、彼は迷わず「過去」と答えている。

「2000年から2010年までが俺の全盛期だった。素晴らしい日々だったんだ。1年だけでいい、当時に戻れたら……」

 全盛期のトッティがいれば、おそらくイタリアがワールドカップ予選で敗退することもなかっただろう。「こんな悲劇が起こるなんて……。来年の6月にテレビをつけても、そこにはイタリアがいない。まるで現実じゃないみたいだ」と落胆するトッティは、イタリア代表の新監督にヴィンチェンツォ・モンテッラを推薦した。一方、自身の指導者転身については、「いまは優先事項じゃない、とだけ言っておこう」と答えている。

 9月に一度はライセンス取得コースをスタートさせたが、多忙のため講義に出席できないとの判断から中断させているトッティ。稀代のファンタジスタが後進の育成にあたる日は訪れるのだろうか。
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