上海上港退任のポルトガル人指揮官が“世界一過酷なレース”のドライバーに仰天転身!

2017年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

レース仲間はヴィラス=ボアスの挑戦に好意的!

緻密な分析力と優れた戦術眼を持つヴィラス=ボアス。監督キャリアで磨かれたその力は新たな舞台でも活かされるか。 (C) SOCCER DIGEST

 幾多の名門クラブを率いてきた名うての指揮官がサッカー界を離れて、新たな試みに挑む決意したようだ。
 
 現地時間11月30日に中国スーパーリーグの上海上港を退任したアンドレ・ヴィラス=ボアスは、自らの監督業を一時的に休業し、プロレーシングドライバーへ転身することを決断したという。『Telegraph』など複数の英紙が驚きを持って報じた。
 
 ヴィラス=ボアスはこれまで主にポルト、チェルシー、トッテナムで監督を歴任し、2014年3月からは1シーズン半に渡ってロシアの強豪ゼニトを率い、ロシア・リーグ優勝などタイトルも獲得。その後、昨年11月にスベン・ゴラン・エリクソンの後任として、上海上港の新指揮官に就任していた。
 
 迎えた今シーズンは、中国スーパーリーグで2位に入ったほか、アジアチャンピオンズ・リーグでベスト4入り、国内カップ戦でも準優勝とまずまずの成績を残していた。
 
『Telegraph』紙によれば、上海上港はその手腕を高く評価し、1年間の契約延長のオファーを提示したが、「監督を長くやるつもりはない」と話すポルトガル人指揮官がオファーを固辞。クラブもその決意の固さに引き留めることはできなかったという。
 
 そして、40歳の若き名将がサッカー界を離れ、新たな挑戦先を選んだのが、「世界一過酷なモータースポーツ」と評される、耐久レースのダカール・ラリーだ。
 
 1982年のダカール・ラリーに参戦していたペドロを叔父に持つヴィラス=ボアスは、10代の頃に母国ポルトガルのモトクロスバイクの大会にも定期的に参戦した経験を持つなど、モータースポーツにも造詣が深いことで知られている。
 
 そんなヴィラス=ボアスは当初、二輪でのダカール・ラリー挑戦を希望していたものの、準備期間が足りないことから四輪での参戦を決意したようだ。複数のメディアの取材に本人が答えている。
 
「KTM(オーストリアのレースチーム)のマネージャーである友人のアレックス・ドリンガーと話したんだ。彼には『1年間の準備が必要だ』と言われてしまってね。それで車でのダカール参戦を検討する方がいいと思ったんだ。そして、彼らと真剣に話し合って、今ここにいるのさ」
 
 ヴィラス=ボアスが参戦を決めたダカール・ラリーは、来年1月に開催される大会で節目の40回目を迎える。もちろんその記念大会も1月6日からペルー、ボリビア、アルゼンチンを20日間に渡って走り、ようやくゴールを迎えるという過酷なものだ。
 
 40歳のポルトガル人指揮官は、そんな心身の強さが問われるレースに挑むわけだが、周囲はその熱意を評価しているようだ。レース中にナビゲーターとしてヴィラス=ボアスの運転する車に同乗するポルトガル人ラリードライバーのルーベン・ファリアは次のように話している。
 
「アンドレから僕に電話があってチームに加わることを提案された。考える時間を必要としたね。でも、5秒くらいかな。素晴らしいチャレンジだし、僕たちは良いダカールを過ごせると思うよ」
 
 2013年ダカール・ラリーのバイク部門で準決勝に輝いた実績を持つドライバーから太鼓判を押されたヴィラス=ボアス。はたして、新たな舞台で成功を掴めるのか? その挑戦から目が離せない。
 
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