チェルシー内紛の舞台裏…なぜダビド・ルイスはコンテ監督に疎まれてしまったのか

2017年11月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

みずから仲裁役を買って出たルイスだったが…

重要なユナイテッド戦でスタンド観戦を余儀なくされたダビド・ルイス。試合後は沈黙を守っているが、その心中やいかに!? (C)Getty Images

 昨シーズンのプレミアリーグ王者チェルシーが、風雲急を告げている。
 
 日曜日のマンチェスター・ユナイテッド戦を1-0でモノにしてなんとか優勝戦線に踏みとどまったが、試合翌日には長らく強化部門のトップを務めてきたマイケル・エメナロが辞意を表明。依然としてチームとアントニオ・コンテ監督に対する懐疑的な見方が大勢を占め、なにより英メディアを騒がせているのが、指揮官と守備の要であるダビド・ルイスの冷え切った関係だ。
 
 事の発端はどこにあったのか。高級紙『The Times』は、昨シーズン途中のルイスが取った行動が問題視されたのではないかと見ている。コンテ監督と衝突を繰り返していた親友ジエゴ・コスタの間に入り、みずから望んで仲裁役を買って出たルイス。だがこれが裏目に出たようだ。イタリア人指揮官は「ルイスはコスタの味方」と見なし、それ以来、距離を置くようになったという。コスタは今シーズン開幕後に事実上の飼い殺しとなり、年明け1月1日に古巣アトレティコ・マドリーへ完全移籍することが決まっている。
 
 鬱積していたコンテ監督のフラストレーションが爆発したのが、先週水曜日のチャンピオンズ・リーグ4節、ASローマ戦の翌日だ。0-3の完敗を喫した試合でのルイスのパフォーマンスと反抗的な態度に対し、激しく叱責。その2週間前の同3節、同じローマ戦(3-3)で57分に交代を命じられた時もルイスは悪態をついたとされており、指揮官は我慢の限界に達したのかもしれない。
 
 そしてマンチェスター・U戦で、ルイスはベンチ入りさえ許されず、スタンド観戦を強いられた。コンテ監督は試合後、「あくまで戦術的な理由でメンバー外としたが、彼は努力をしなければならない。でなければ今後もベンチに座るかスタンドで試合を見ることになるだろう」と突き放したのだ。
 
 エゴイスティックな一面を覗かせるコンテ監督に警鐘を鳴らすのが、英衛星放送『Sky Sports』で解説を務める元イングランド代表DF、ガリー・ネビルだ。
 
「ロッカールームでのダビド・ルイスの影響力をまるで考えていない。もしこの先の2~3週間も彼をベンチやスタンドに追いやるなら、コンテはみずからの首を絞めることになるだろう。チェルシーが失点を喫するたびに、テレビカメラはルイスの表情を映し出すのだから。ジョン・テリーが干された時と同じだ」
 
 加えて、ルイスはロマン・アブラモビッチ・オーナーのお気に入りときている。元ブラジル代表DFは沈黙を守っているが、この絶望的な状況が続くようなら、退団の意思を固めるだろう。
 
 大一番に勝利しても、不穏な空気を拭えないブルーズ。過去の事例を遡るまでもなく、政権交代の匂いがプンプンと漂ってきた。
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