【新潟】呂比須監督が徹底したセカンドボールへの意識。奇跡の残留への合言葉は“コンパクトな陣形”だ

2017年10月29日 梶山大輔(サッカーダイジェスト)

守備が機能し、ここ3試合で2勝1分と好調をキープ。

呂比須監督は「残りの試合も全力を尽くして戦うだけ」と力を込めた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ31節]新潟1-0鳥栖/10月29日/デンカS
 
 J1残留へ向けて勝利が絶対条件だった新潟。鳥栖相手に完封勝利を収め、残留を争う甲府と広島が揃って負けたため、前節に続いてJ2降格を回避した。
 
 試合後、新潟の呂比須監督は、「非常に良い試合ができました。選手たちはファイティングスピリットを見せてくれたし、全力で身体を張ってくれた」とイレブンの奮闘を称えた。
 
 そして、「ロングボールを使った攻めは相手のストロングポイントですが、そこで競り勝てなかった時はセカンドボールをしっかりと拾えていたし、(大野)和成と(ソン・)ジュフンのところでしっかりとラインコントロールできていた」と勝敗を分けたポイントを明かした。
 
 指揮官が述べた通り、新潟の選手たちはセカンドボールへの意識が非常に高かった。それにより、最終ラインから前線までコンパクトな陣形を保てており、中盤で相手にスペースを与えなかった。
 
 この"コンパクトな陣形"は、ここ3試合で2勝1分という好調の要因になっている。全員がボールの取りどころを共有しているからこそ、プレーに迷いがない。特にCFの河田篤秀とトップ下の小川佳純のチェイシングは特筆に値する。彼らが労を惜しまずプレスをかけているので、大野らCBは強気のラインコントロールができるのだ。そして、ボールを奪った後の攻めもシンプルかつ効率的。"良い守備が良い攻撃を生む"という言葉通りのパフォーマンスを披露している。
 
 とはいえ、奇跡の残留に向け、とてつもなく厳しい状態にあるのは変わらない。勝利を収めても、他会場の結果次第で降格が決まる戦いが3試合続く。ただ、現在の新潟を包む一体感には、簡単には負けない雰囲気が漂う。この日スタジアムに駆け付けたサポーターは、惜しみない拍手と熱のこもったチャントをイレブンに送っていた。12人目の選手の想いも胸に、新潟が奇跡に挑む。

取材・文:梶山大輔(サッカーダイジェスト編集部)
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