「ビッグマウス」から「冷静沈着」なMFへ――。小林祐希が見せた心身の確かな進化

2017年10月07日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

チームメイトや指揮官の高評価にも満足感は示さず。

途中出場で日本にリズムをもたらした小林祐希。心身の成長を伺わせた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 2-1 ニュージーランド/10月6日/豊田スタジアム
 
 50分に大迫勇也のPKで先制した日本だが、59分にクリス・ウッドにヘディングシュートを叩き込まれてニュージーランドに同点に追い付かれる。この嫌な空気が流れる中でチームを落ち着かせたのが、60分に投入された小林祐希だ。
 
 交代を用意している時の失点だったため、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から具体的な指示を仰ぐ時間がなかったというが、「逆に自分で考えてできたので良かった。形にとらわれず、トップ下には入ったり、サイドに流れたりできた」という。
 
 ピッチで意識していたことは、「常に(相手の)間に顔を出す、常に次のイメージを持つ、次の人がフリーになるようにする、そしてボックス内でこぼれ球からのシュートをイメージしておくこと」だった。この明確かつ冷静な思考があったからこそ、積極的なボールタッチと正確なパス捌きでチームにリズムをもたらすことができたうえ、85分のタイミングの良い強烈なシュートにも繋がったのだろう。
 
 山口蛍が「相手に押し込まれる展開のなかで、祐希が入ってからリズムが生まれた。ボールを落ち着かせてくれたし、タメを作ってくれた」と振り返れば、ハリルホジッチ監督も「祐希や乾など途中出場の選手がチームにスピードを与えた。祐希はシュートも良かった」と褒め称える上々の出来だった。
 
 しかし、試合後の本人はいたって謙虚かつ冷静沈着だった。アピールの手応えを問われると「それは監督が決めることなので、僕は言えないですね」と返し、さらにこう続けた。
 
「チームと同じことはできた。相手も疲れていたし、どうこう言えないですけど、最低限のことはやったんじゃないですかね。ただ、監督が言う縦に速い攻撃や裏を突くボールという面では、どうだったかなと思う。チームメイトはリズムができて、上がるタイミングができたと言ってくれたのですが、そこは監督が考えるサッカー、チームメイトがやって欲しいこと、自分がやりたいこと、チームとしてやらないといけないこと、色々とあります。一番ちょうどいいバランスを見つけて、試合に出られるように日々の練習からやるだけだなと思っている」
 
 若き頃から強気発言で"ビッグマウス"と言われてきた小林だったが、この日のコメントとパフォーマンスからは、2016年夏に渡ったオランダで心身ともに確かな成長を遂げていることをしっかりと伺わせた。
 
 進化した天才レフティーには、10日のハイチ戦でも大いに期待できそうだ。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
【PHOTO】日本×ニュージーランド戦の美女サポーターたち❤
 
【日本代表PHOTO】土砂降りの豊田スタジアムに集結した多くのサポーターが歓喜!
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事