恩師との再会で闘将が完全復活――テリー|チェルシー

2014年02月19日 山中忍

ケイヒルとのCBコンビはプレミア最強の呼び声も。

限界説を払拭したベテランには、イングランド代表復帰の期待も。 (C) Getty Images

 2月8日の25節ニューカッスル戦に3-0で勝利したチェルシーは、プレミアリーグ首位に浮上した。ハットトリックを決めたエデン・アザールをはじめ、2列目のタレントが生きる攻撃的スタイルへの「進化」が、6年ぶり2度目のジョゼ・モウリーニョ体制で進行中だ。ただし、その裏には「原点回帰」がある。守備の要としてのジョン・テリーの復活だ。

 昨シーズンのテリーは、怪我が癒えた後半戦も、暫定指揮を執るラファエル・ベニテスのローテーションに組み込まれた。プレミアでの先発出場はわずか11試合で、マンチェスター・CとのFAカップ準決勝もベンチで敗戦を見届けた。33歳のベテランが、CBの1番手の座とキャプテンの地位を後進に譲る日は近いと思われた。

 それが、だ。筋肉の炎症で大事を取った前述のニューカッスル戦まで、今シーズンのテリーは開幕から全24試合にフル出場。腰に問題を抱える本人が、最大限に体調管理を意識していることは間違いない。チェルシーとの現行契約は来年6月まで。欠場が続けば、いかに貴重な生え抜きでも新契約は望み薄だからだ。

 とはいえ、最大のモチベーションは、当人の言う「本当に自分を信じてくれる指揮官」の再就任だ。モウリーニョは「贔屓はしないが努力を無駄にはさせない」と、第一次政権で頼りにした支柱にそう告げたという。一方のテリーは、「すぐにアピールできるように、しっかり自主トレをこなしてプレシーズンに臨んだ」と明かしている。

 モウリーニョは、ピッチ上でもテリーに“優しい”監督だった。チェルシーが無失点試合を重ね始めたのは昨年12月後半。直前のリーグカップで格下に不覚を取ったチームには微調整が施された。攻撃時には前線に頭数を割くが、最終ラインは序盤戦よりも下げられ、ダブルボランチには確実に2枚の盾となる意識が徹底された。機動力不足のテリーは、安心して力強い守りを披露できる。破壊力抜群のマンチェスター・Cを敵地で零封した24節(1-0)での好守が良い例だ。

 同時に、ガリー・ケイヒルとのCBコンビには、現時点で「イングランド最強」との評価が識者間で定着し、テリーに代表引退撤回を望む声が強まった。マンチェスター・C戦後には、前代表助監督のスチュアート・ピアースも、「明白だ」と代表での必要性を指摘。イングランドのロイ・ホジソン監督は「復帰要請はない」と繰り返しているが、ワールドカップまでのこれから3か月間、4年ぶりのリーグ優勝を争うチェルシーの「CBのファーストチョイス」には、イングランド代表での「原点回帰」もありうるだろう。
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